どんな時代でも通用する能力とはなにか?
あなたならこの問いにどう答えますか?
記憶力、論理力、分析力、洞察力、創造力、表現力、注意力、または体力や腕力と答える人もいるかもしれません。もちろん、上に挙げたような能力も間違いではありません。ただし、ここでもう一つ条件を付け加えましょう。
たった一つだけ選ぶとしたら、どんな能力を選びますか?
どんな時代でも通用する能力は ” 度胸 ”
冒頭で書いているように、どんな時代でも通用する能力です。北斗の拳のような世紀末の世界でも通用する能力です。さて、あなたはどんな能力を選ぶでしょうか?
私は今年で44歳になります。正社員での転職回数6回、バイトや契約社員を含めると、経験した職種は20を超えています。そんな私が今日まで生きてきて、一つの結論がでました。どんな時代にも通用する能力を私が一つだけ選ぶとしたら、私は迷わず 度胸 だと答えます。勇気といってもいいのですが、私の感覚だと度胸という表現のほうがしっくりきますね。
その昔、侍たちの時代では 胆力 と表現されていたようです。「胆力を養う」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。日本という国は戦後、長らく平和な時期が続いてきました。
そのためか、いつしか度胸という能力が重視されなくなってきたのです。いや、むしろ度胸のある人間は扱いにくいということで、日本では度胸のある人ほど敬遠されてきた感すらあります。ですが、最終的にはやはり度胸のある人間が強いのです。
度胸というものは、人間という生物の根幹となる強さと言いかえてもいいでしょう。それほどまでに重要な能力だと私は考えています。私が度胸を重要視する理由は次の3つです。
最終的に得られる情報量が多くなる
恐怖をコントロールすることができる
リスクを恐れないとはつまり、思い切った行動に出られるということでもあります。
人生というのは選択の連続です。安全な選択もあれば、危険な選択もあります。世の中の大半の人は、えてして安全な選択ばかりしようとします。安全な選択とは結果が簡単にわかる選択のことです。しかし、結果が簡単にわかるというのは無難な選択でもあります。結果のわかりやすい無難な選択では、自分の状況をかえたり、大きなリターンを得ることはできません。
ですから、自分の人生を変えたければ、ときには結果のわからない危険な選択もしなければなりません。危険な選択をすれば、ときに損失を被ることもあるでしょう。肉体的・精神的、あるいは経済的な損失です。損失は誰にとっても嫌なものですが、そうした損失を受け入れることでしか、度胸というものは育たないのです。
度胸とはHPようなもの
わかりやすく説明するなら、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストなどのRPGを思い浮かべてみるといいでしょう。RPGには必ずHP(ヒットポイント)というものがあります。これがゼロになるとゲームオーバーとなります。
度胸がある人というのは、このHPが高い人だと考えてください。
RPGでHPを上げるには、レベルアップが必要です。レベルアップをするためには、たくさんの敵と戦わないといけません。敵と戦うと主人公はかならずダメージを受けます。何度もダメージを受け、ときには回復しつつ戦い続けることで、経験値を獲得しレベルアップをすることができます。そしてレベルアップしてHPが上がると、それまで以上に敵からの攻撃に耐えることができるようになります。
度胸がつくというのはこういうことです。
たとえば、自分のHPが100、攻撃力が100、対して敵のHPが150、攻撃力が100とします。自分は1回ダメージを受ければおしまいです。そのような敵とはなかなか戦えないでしょう。ところが、自分のHPが1000だとすると、敵の攻撃に10回までは耐えることができます。そうなると敵を恐れず戦うことができるようになります。
ほかの人たちが尻込みするような敵とガンガン戦っている人がいたら、周囲の人たちの目にはどう映るでしょうか?「あいつは度胸(勇気)があるな」と思われるはずです。本当はHPが1000あるので、本人にとっては大したリスクではないのですが、周囲の目にはそう映ってしまうのです。現実世界では他人のHPなど見えませんからね。
ゲームの戦闘は現実社会での挑戦と考える
さて、今度はRPGでの戦闘を現実社会での挑戦と置き換えてみてください。現実社会で様々な挑戦を続けていくと、次のようなことが起こります。
より正確な損失の算定ができるようになる
結果を予測する精度が高くなる
結果として物事の判断力が増す
他人と差別化できるようになる
ある程度の損失が受け入れられるようになれば、他の人たちより物事に挑戦できるようになります。人がしないような挑戦をたくさん経験することで、最終的に自分に入る情報量が格段に増えてきます。
自分の中の情報が増えていくと、上記のような能力をあなたは獲得することができるでしょう。くわえて、他の人がしないような挑戦をして手に入る情報には、希少価値が生まれます。希少価値のある情報を持っていることは、あなた自身に独自性があることの証明であり、独自性があれば、他者との差別化ができるようになるのです。
みんなが同じようなことを言っていると、それがどんな良いものであっても、いづれ人は飽きてしまいます。そんなとき、人とは違ったことを言う人が現れると、あなたは多くの人の目に止まることになるでしょう。多くの人の目に止まれば、あなたにいろいろな話が舞い込んでくることになります。それをチャンスととらえ、再び挑戦していくことで、あなたはさらに情報をえて、人生には様々な選択肢があることを知っていくのです。
人生にはいくつもの選択肢があると知れば、あなたの人生はしだいに有利なっていきます。
たとえば、サラリーマンしかお金の稼ぎ方しか知らない人と、サラリーマン以外のお金の稼ぎ方をいくつも知っている人だと、一体どちらが生き残る可能性が高いでしょうか?もう答えるまでもないでしょう。
恐怖のコントロールができる人は強い
恐怖をコントロールできることについてですが、これが度胸があることの最大のメリットになります。度胸のある人というのは、他の人よりも恐怖を感じくくなります。なぜかというと、自分の中にたくさんの情報があるので、恐怖することとしないことの区別が明確になっているのです。もちろん、度胸のある人でも恐怖を感じることはあるでしょう。しかし、度胸のある人は恐怖を正面から受け止め飲まれることがないのです。
度胸のない人は、恐怖を感じると慌てたり焦ったりします
度胸のある人は、恐怖を感じても慌てずに冷静さを保てるのです
恐怖を前にして冷静さを保てるということは、的確な判断ができる可能性が高いことを意味します。本当に危険な状況、もしくは大損害を被りそうな状況で冷静な判断力を失ってしまうと、ほとんどの場合、人は誤った判断をしてしまいます。当然ながら、誤った判断をしない人のほうが、生き残る可能性が高いことになります。そしてもう一つ、恐怖をコントロールできる人は、他人から操られることがありません。
恐怖というのは、案外身近なところにあるものです。テレビや新聞の報道、不安を煽る広告、パワハラ上司や犯罪者の脅威など。
昔から人の不安を煽って利益誘導を考える人はいるのです。恐怖に弱い人は、不安に負けて相手のいいなりになります。恐怖に強い人は、不安に打ち勝つので相手のいいなりになりません。今の時代に相手のいいなりになるということは、お金をむしり取られることと同じ意味を持ちます。今の日本社会に度胸を重視しない風潮があるのも、もしかするとそういった利益誘導を画策する人たちが仕組んだことなのかもしれません。
昨今は日本だけでなく、世界全体の情勢が不安定になっています。今後、どのようなことが起こるか予想もつきません。このような時代では、恐怖に振り回されず、冷静に対処できる能力が必要とされるのです。以上が、私が度胸というものを重視する理由です。