資格なんかとっても意味がない。
たまにこのような言葉を目にします。たしかに、多くの資格はすでに持っている人が十分いますから、今後は資格だけで食べていくことは難しいかもしれません。
しかし、もしあなたに学歴というものがないのであれば、資格をとることは必ずあなたの役に立ちます。
私はエンジニアですから、工業系の資格をいくつか持っています。
そんな私が資格を取って、もっとも良かったと感じたことは、
転職のときの書類選考の通過率が格段に上がることです。
日本では、社会人の9割がサラリーマンです。ということは、ほとんどの人はサラリーマンから始めることになります。
私から下の世代というのは、一部の大企業を除いて、一つの会社にいても給料が上がらなくなった世代です。勤めている会社で給料を上げることができないなら、転職で少しでも待遇のよい会社にいくしかありません。
私もこれまで、何十社と会社を受けてきました。その中で感じたことは、中途採用では書類選考を通過できれば、8割以上の確率で採用されるということでした。
ただし、収入の高い仕事につきたければ、それに見合った能力があることを証明しなければなりません。その能力の証明に威力を発揮するのが資格なのです。
面接までのプロセス
企業の人事部門というのは、どこの会社も少人数です。ですから、待遇がよい会社であればあるほど、人事担当者は相当な数の書類に目を通さなければなりません。
そこで一番よく見られるのは履歴書です。履歴書のどこを見られるのかといえば、1番は最終学歴、2番目は職歴、3番目は資格・免許欄の順番なのです。
人事担当者によって、若干の違いはあるかもしれませんが、私の知り合いに聞いた限りではこの順番です。というか、ほぼここしか気にしていないと言ってもいいでしょう。この3つで書類選考を通過するかどうか8割がた決まります。
そして、中途採用では1職歴、2資格・免許、3最終学歴の順番で重視されます。
よく「面接で話せば仕事ができるかどうかわかるだろう」と言う人がいます。私はこれは非常に甘い考えだと思います。
実は、かつての私もそのように考えていました。けれども、面接前の書類選考で落とされていては話になりません。かりに面接までたどり着けたとしても、あなたの能力を正しく見抜ける面接官などいないのです。
彼らの関心事は、自分たちの職場でやっていけるかどうかだけだからです。そのため、面接時の印象だけで合否が決まることも少なくないのです。
ほとんどの企業の面接までのプロセスは、
2.人事担当者が選んだ書類を募集している部署の管理職に見てもらう
3.募集部署の管理職がOKを出せば書類選考通過
4.面接日程の調整
こんな感じで決まります。
私は何度も経験がありますが、ほとんどの面接官は応募書類をまったくといっていいほど読んでいません。
本当にサッと見ているだけです。あとは面接時に本人を目の前にして、少し読むくらいなのです。
腹が立つかもしれませんが、これくらいいい加減だと思っておいたほうがいいでしょう。ただし、先に言ったように、最終学歴、職歴、資格・免許欄だけはちゃっかり見られています。
だからこそ、資格を取っておくことが重要なのです。
資格を取ることで能力と勤勉さをアピールできる
資格を取っておくと相手からどのように見られるのでしょうか?
それまで取ってきた資格のレベルが高いほど、あなたに一定水準の記憶力や理解力があること、学習能力があることの証明になります。
またこれらの能力は、良い仕事をすることや真面目に仕事をすることの裏付けにもなるのです。
たとえば、ここに同じ学歴の応募者が2人いたとします。一人はよく仕事ができるけど資格なし。もう一人は仕事は平均レベルでも資格を持っている。
この場合、資格を持っている方が採用される可能性は高くなります。「そんなバカな!」と思われるかもしれませんが、これが採用の現実なのです。
なぜなら、目に見えるものがより確実だと人は考えるからです。
そもそも世の中の9割以上の人たちは、目で見えるものしか見ていません。目に見えない人の能力を、一度や二度の面接だけで判断できる人はいないのです。
だからこそ、資格という目に見える状態にして、自分の能力を相手にアピールする必要があるのです。
年齢別の資格取得レベル
最後に、どんなレベルの資格をいくつ持っておけばいいのか、その目安を書いておきます。
30~35歳:2級レベルの資格を2つ以上
35歳以上: 1級レベル以上の資格を2つ以上
こんな感じで少しずつステップアップしていくとよいでしょう。
通常、歳をとればとるほど私たちは高い能力を求められます。ですから、取っていく資格も年齢に応じてグレードアップしていく必要があるのです。
あと、どうせ資格を取るなら複数取っておきましょう。複数の資格に挑戦することで、継続して学習する習慣がつきます。資格に合格するたび、自分に自信もついてきますし、職業を選ぶとき選択の幅も広がります。
もちろん、人事担当者へのアピール材料にもなることでしょう。
終身雇用・年功序列といった古い制度の時代はもう終わりました。これからの時代は、一つの会社で能力を高めることなく、ずっと同じ生活が続けられることはなくなっていくでしょう。
私から下の世代の人たちは、すでにそのことに気づいている人も大勢いると思います。厳しい時代ではありますが、私は努力できる人たちが報われる時代が来たと考えています。