勉強することの本当の意味

私が子供のころ、よく親や先生から勉強しなさいと言われました。

当時の私は親に「どうして勉強しないといけないの?」と尋ねましたが、「いい仕事に就くため」とか「頭がいい方が社会に出てから有利なことがある」といった、ありきたりな回答しか得られませんでした。

子供の私はこうした抽象的な回答がどうしても腑に落ちません。結局、私は勉強の意味を知らずに大人になってしまいます。

いざ社会に出てみると、わからないことばかりです。

あるとき、私は大失敗をして、それをきっかけに「自分はバカだからこんな失敗をした。勉強しないとますますマズい状況になる」という危機感を持ちました。それから、自分なりに色々と勉強するようになったのです。

最初に始めたのは読書でしたが、何年も継続していくうち、私は勉強することの本当の意味が徐々にわかってきました。

勉強することで高まる4つの能力

勉強の基本は、まず知識を詰め込むことから始まります。

そのためには、やはり読書が有効な手段になります。大量に読書して、知識を詰め込んでいくことで、私は次の4つの能力が高まることを実感しました。

 言語能力
 集中力
 記憶力
 処理能力

勉強することの基本は言語能力を高めること

情報化社会といわれる現代、ほとんどの情報は文字や言葉を通して私たちに伝えられます。ということは、言語に対する理解力が低いと、私たちは十分な情報を得られないということになります。

昨今、詰め込み型の日本式教育が批判されることがありますが、小学校~高校くらいまでは、知識を詰め込んでおかないと、言語に対する理解力が十分に養われないと私は考えています。

私は学生時代、まともに勉強しなかったので、社会に出てから随分と苦労しました。今よりあらゆる情報が少なかったという理由もありますが、言語能力が未熟だったことが最大の原因だと思います。

ただでさえ情報が少ないのに、言語から取り入れられる情報量が人より少ないのです。だから何をやっても的外れで失敗していたのです。

私が「やっと人並みの理解力になったかな?」と感じたのは、読んだ本の数が1000冊を超えたあたりからです。ようは、それだけ人より出遅れていたということなのです。

もし、あなたが自分で物事の理解力が低いように感じたら、まずは基本に戻って知識を詰め込みましょう。

一定レベルの理解力が身につくと、どんな本を読んでもおおよその意味は理解できるようになります。また、仕事でも言葉による行き違いが減るため、ミスが少なくなってきます。

文字を読むことで集中力が養われる

読書を習慣化すると、長時間文字を読むことが苦にならなくなります。それは同時に、長時間の集中力が養われることにもなるのです。

そのため、学生時代にしっかり勉強してきた人たちは、みんな高い集中力を長時間維持することができるようになっています。人が集中しているときは、思考がクリアになって質の高い作業ができるようになります。

これはそのまま、社会にでてからも質の高い仕事をすることに繋がっていきます。

知識が増えるほど記憶力は高まる

読書の数をこなすほどに実感したのは、記憶力の高まりです。私が若いころは、「記憶できる容量は決まっているから、無駄なことは覚えない方がいい」という人がいました。

私自身の経験からも、これはまったくの間違いであるといえます。

もっと正確にいえば、ただ知識が増えたから記憶力が高まったのではなく、知識と同時に言語理解力も高まったから、記憶力が高まったと考えるのが正しいでしょう。

知識を増やすことで、言語理解力が高まり、似た意味の言葉を理解するのが楽になったのかもしれません。知識が増えると脳内にネットワークができるという話もありますから、知識同士の関連性が密になることで、記憶する負担が減っていると考えることもできるでしょう。

「歳を取るとともに記憶力は低下する」とよく言われますが、これも一概にはいえません。

実際、私は25歳のときより43歳の今の方が断然記憶力はよくなっています。常に新しい知識をアップデートしているため、知識同士の繋がりが若いときより高密度に、そしてより強固になっているからだと思います。

大量の知識をインプット&アウトプットすることで脳の処理能力が高まる

これは社会人大学院に入ったときに実感したことです。とにかく、短期間で大量の文章に目を通して、レポートを作成しないといけなかったため、3ヶ月くらいで文字や言葉の処理能力が一気に上がったことを実感しました。

私はこのとき、高学歴の人たちの言語処理能力が高い理由を理解したのです。彼らは学生時代から長時間勉強し、大量の文章を読み、問題を解き、レポートを作成しなければなりませんでした。これが、彼らの処理能力を高める訓練になったのです。

私はべつの記事で彼らの欠点を指摘してはいますが、彼らの処理能力が常人離れしていることについては、まぎれもない事実だと感じています。

人間の頭はCPUやHDDが自己成長する

私自身が勉強を続けてきて感じたことは、人間の頭は自己成長するパソコンのようなものだということです。パソコンは古くなったら買い換えなければなりませんが、人間の頭は勉強することによって、次々と新しいCPUやHDDにアップデートされていくのです。

もちろん、生まれつきハイスペックなCPUとHDDを搭載している人もいますが、一般人でも訓練次第で人並み以上の頭脳を獲得することはできると私は思います。

高度情報化社会と呼ばれている現代、私が学生のころと比べても、比較にならないほど多種多様な情報で溢れかえっています。それは私たちが日々取り入れる情報量も膨大になっていることを意味します。

膨大な情報を処理するためには、それだけ処理能力の高いCPUと大容量のHDDが必要になります。だからこそ、これからの時代に適応するため、私たちは勉強する必要があるのです。

勉強しなければ時代に取り残される

日本のサラリーマンは、先進国で最も勉強していないといわれています。

しかし、それではもうやっていけない時代に突入してしまいました。人間は自己成長できる生き物なのだから、私たちは自分を信じて勉強を続けていかなければなりません。

そうしないと、自分の子孫たちの将来に暗い影を落とすことになるかもしれないのです。

日本人の多くが社会人になると勉強しないのは、受験勉強がつまらなかったからです。学生時代にずっとつまらない勉強をしてきたため、社会人になってからもあんな勉強をするのは嫌になったのでしょう。

たしかに、学生時代の勉強は、私も本当につまらなかったと思うので、日本のサラリーマンが勉強したがらない気持ちもわかります。

とはいえ、社会人になってからの勉強は、学生時代のようなものではなく、もっと楽しんでやることができます。自分の興味のある分野に集中することもできますし、都合のいい時間に自分のペースで勉強することもできるのです。その勉強も、習慣化してしまえば、さほど苦になりません。

前時代的なつまらない勉強のイメージは一度捨ててしまいましょう。社会人になってからの勉強は楽しんでいくことに重点をおけばいいのです。そうすれば、楽しみながら自分の能力を高めていくことができるようになります。

楽しみながら能力も高められる。それが、これからの時代の本当の勉強法だと私は思います。

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