「努力って何をすればいいんですか?」
もう何年も前になりますが、このようなことを言った新入社員がいました。そのときは私もいささか驚きましたが、よくよく考えてみると誰もが当然のように使っている言葉なので、誰も具体的に定義できていないのかもしれません。
オンライン辞書などで調べてみると、努力とは「目標の実現のため、心身を労してつとめること。ほねをおること。」・・・意味がわかりません。
ああ、なるほど、辞書にもこのような抽象的なことしか書かれていなければ、努力が何かわからないというのも納得がいきます。今回は、私が定義した「努力とは何か?」について考えてみます。
努力とは目的を達成するまで情報を集め行動すること
私は、努力をこのように定義しました。努力するためには、まず目的が必要です。目的がなければ誰も努力などしようとしません。次に目的達成のためには行動をしなければなりません。そうはいっても、人間は動機なしに行動することはできませんから、今度は行動の動機となる知識やスキルといった情報が必要になってきます。知識とスキルは別モノのように思いますが、私はスキルも結局は情報だと考えています。
たとえば、スキルを身につけるためには、反復練習や方法論が必要です。身体的なスキルを身につけるためには、繰り返し動作を練習して、自分の身体に正しい動作を記憶させなければなりません。この場合、繰り返す動作は、身体的情報を集める作業といえます。そして方法論とは、文章や言葉から知識として習得することが可能です。だから私は、知識やスキルを情報としてとらえているのです。そう考えると、努力する順番は以下のようになると思います。
2.情報を集める
3.行動を起こす
努力は継続できなければ意味がない
努力をするのは大事なことですが、その努力が長続きしなければ目標の達成は難しくなります。努力が継続できる人と継続できない人は何が違うのでしょうか? それは、「自分の人生に目的を持っているかどうか」これにつきます。どういうことなのか説明しましょう。
努力が継続できる人は人生に目的を持っている
長期に渡って努力が継続できる人というのは、人生の目的を持っています。具体的には、「自分はこんな生き方がしたい」「自分はこんな人間になりたい」ということです。一言でいえば、自分の理想像を持つということです。自分の中に理想の生き方や人物像があるから、それに向かって継続して努力することができるのです。当然、その理想が高ければ高いほど、努力は長期間継続する必要がでてきます。
人生の目的を持つと、最終的には死を意識することになります。だからこそ、「死ぬまでには、こういう人間になりたい」「死ぬまでには、こんな生き方ができるようになりたい」と考えるようになるのです。目的の最終到達点が死ですから、死ぬまでの間、目的を達成するまで努力をすることができるのです。
また、人生の目的があると短期的な目標も立てることができます。人生に目的がある人は、最終ゴールを見据えて、「ここに到達するためにはこのスキルが必要だ」と考えます。自分の理想が高いほど、必要なスキルは増えていくので、1つのスキルを身につけても、情報を集めているうち、またべつのスキルが必要だと知ることになります。そうして、「コレをやったら次はコレ」と次々に短期的な目標を定めて、新しいスキルをどんどん身につけていくのです。次から次へと新しい目標を定めていくので、「気がつけば10年継続して努力していた」という結果になるのです。
努力が継続できない人はなんとなく生きている
逆に、自分の人生に目的を持っていない人は努力を継続できません。大してやりたいこともなく、ただなんとなく生きているので、どうしても行動するための動機に乏しくなってしまうのです。目的がなければ、行動するための動機も起こりませんから、人は努力を継続できなくなるのです。そういう人は、他人から言われたことをやるだけになってしまったり、他人の目的に沿って生きていくことになります。
動機づけに必要な情報を集める
人が何か行動を起こすときには、必ずなんらかの動機が必要になります。そして、動機づけをするためには物事を判断しなければなりません。その判断に必要なのが知識やスキルといった情報なのです。
たとえば、あなたが海外旅行に行きたいという目的を持っていたとします。ある日、あなたはとあるバッティングセンターの前を通りかかりました。その日はちょうどバッティングの打率を競うイベントが開催されていて、1等の景品は海外旅行のチケットだとしましょう。
このとき、あなたがバッティングに関する知識、そのバッティングセンターのピッチングマシーンの癖という情報を持っていたら、そして人並み外れたバッティングの腕前があったなら、すぐにそのイベントに参加するという行動を起こすでしょう。目的を達成できるだけの勝算があるからです。この場合、自分の中にある知識とスキルが後ろ盾となり、勝算があるという判断が可能となります。それが行動するための強い動機になるのです。
翻って、もしあなたにバッティングの腕前がなかったら、バッティングマシーンやバッティングに関する知識がなかったら? 「どうせ参加してもダメだろう」と行動する前に諦めてしまうのではないでしょうか? 人というのは、自分ができないと思っていることはやりたがらないものだからです。
色々なことができる人は努力を継続しやすい
行動するためには情報が必要です。これは、自分の中にたくさんの情報を持っている人は、行動するための動機づけがしやすいと考えることもできます。情報をたくさん持っているということは、人より多くの手段を持っているということでもあります。手段をいくつも持っていれば、手段をあまり持っていない人よりも、たくさんの行動することができます。それが最終的には努力を継続する原動力となっているのです。結局は自分の中にどれだけ情報を蓄えているのか、それが努力継続の決め手となります。
まとめ
私はそのように考えています。