下流から抜け出したければタバコはやめなさい

今回は喫煙者にとっては耳の痛い話をしたいと思います。

もし、あなたが喫煙者であり、下流から抜け出したいと本気で考えているなら、タバコは絶対にやめるべきです。タバコをやめなければ、下流から抜け出せる確率は極めて低くなります。

私の家族は、かつては私以外の全員がタバコを吸っていました。そんな状況で、私は子供のころから、親兄弟の副流煙をしこたま吸わされて育ってきたわけです。ですから、もともと私はタバコというものが大嫌いでした。

それから大人になり、実家を出て一人暮らしをし始めてから起こった体調の変化、いくつもの職場で見てきた喫煙者の実態、それらの経験からも私はタバコの害というものを改めて認識せざるをえませんでした。

タバコで能力が著しく低下する

タバコの一番の害は、毛細血管が収縮する(縮む)ことです。タバコの中に含まれるニコチン、その他いくつもの化学物質が神経を緊張させ、血管を縮ませるのです。

人間の身体の9割は毛細血管だといわれています。血管が縮むということは、脳のすみずみ、身体のすみずみまで血液が行きわたらないということです。血液が身体のすみずみまで行きわたらなければ、人間は本来の能力を発揮できません。

日常的にタバコを吸うことで、血管の収縮が常態化します。いつも血管が縮んでいると、血管はいづれ短くなり、毛細血管の数も減っていきます。その現象は、とくに皮膚など身体の表面に現れます。皮膚に通っているのはほぼ100%毛細血管ですから、皮膚表面まで血液を運ぶことができなくなるのです。

その結果、顔にシワやシミができやすくなったり、頭皮の毛根が死滅して頭がハゲてきたりします。その他にも、内蔵機能の低下による身体の不調、記憶力の低下などの症状が現れるのです。

実際、これまで私が勤めてきた職場でも、喫煙者と非喫煙者を比べたとき、喫煙者の方が明らかに記憶力の悪い人が多かったです。今の職場にも26~27歳でタバコを吸っている若者が2人ほどいますが、今年44歳になる私の方が彼らより記憶力がいいのです。(ちなみに、私の記憶力は平均的です)

また、20代でも身体を動かしたがらない人も多いのです。タバコで身体機能が低下しているからでしょう。身体のすみずみまで血液が行き渡らないので、疲労物質が身体のあちこちに残っているのです。

このようにいうと、必ず「頭のいい人でもタバコを吸っている人もいるじゃないか」という人がいます。たしかにその通りです。しかし、私はこのように言う人にはこう答えるようにしています。「では、あなたは彼らのような能力や才能があるのですか?」と。

タバコは嗜好品ですから、吸うも吸わないも個人の自由です。私も職場の同僚や友人に、タバコをやめろといったことはほとんどありません。ただ、もっと豊かになりたい、もっと頭がよくなりたい、そういう想いがある人には、まずタバコをやめるようアドバイスをします。

そんなにタバコを吸いたければ、自分が豊かになってから存分に吸えばいいのです。タバコはやめたくない、でももっと豊かになりたいというのは、今の世の中どう考えても現実的ではありません。

20~30年前なら、単純作業でもそれなりに稼げたので、まだやっていけたでしょう。ですが、これからの時代は、今までよりもっと頭を使わないといけないのです。頭を使うような仕事では、タバコの害は間違いなく足枷になります。

平均年収の低い職場ほど喫煙者率が高い

私はもともと、手取り10万の地元の零細企業から仕事を始めました。その後、手取り10万→15万→19万→24万→30万と、転職して収入を少しずつ上げていったのです。

そんな私が、底辺から徐々に這い上がってきたことでわかったことがあります。それは、給料の安い会社ほど喫煙者率が高いという事実です。自分の収入が上がれば上がるほど、職場環境はよくなり、それにともなって喫煙者は減っていきました。少なくとも、私のこれまで移り変わった職場では、それが紛れもない現実だったのです。

私は今の職場で、色んな国の外国人と接することがありますが、欧米人でタバコを吸っている人はほとんどいません。彼らに聞いてみると、皆口をそろえて「身体に悪すぎる」と言います。欧米では、喫煙者は露骨に区別されることも少なくありませんから、それも彼らがタバコを吸わない一因になっているのかもしれません。

欧米だけでなく、台湾や韓国、シンガポールなどアジア地域のエンジニアを見ても、優秀なエンジニアに一人も喫煙者はいません。彼らは皆、タバコの害をよく理解していますから、自分の能力を下げることをしたくないのです。

デキる人とデキない人の喫煙

そうはいっても、稀にデキる人にも喫煙者はいます。ただし、そういう人のタバコの吸い方にはメリハリがあるのです。吸う場所やタイミングをわきまえていますし、いつまでもダラダラと吸ったりしません。1日に吸う本数も少なめです。

私の友人の知り合いに優秀なクリエイターがいます。あるとき、私は友人の付き添いで、一度だけそのクリエイターに会ったことがあります。彼は喫煙者でしたが、タバコに関して面白いことを言っていたのが印象に残っています。

彼は、普段はよくタバコを吸うらしいのですが、クリエイティブな仕事をするとき、まったくタバコを吸わなくなるのです。彼曰く、「タバコを吸うといいアイデアが浮かばない」「集中力が続かない」ということらしいのです。

それを感覚的に感じているので、本当に仕事に集中したいときは、自然にタバコが欲しくなくなるということでした。たしかに、彼の話は身体能力の観点から合点がいきます。

その他にも、仕事がデキる喫煙者は、タバコを吸うべきとき、吸うべきでないときをちゃんとわきまえています。

デキる喫煙者は、タバコを吸っていても、仕事の話が来ればすぐに吸うのをやめて仕事に取りかかります。また、本当に手が空いているときしか喫煙所に行きません。喫煙所で過ごす時間も短めです。

反対に、デキない喫煙者は、仕事よりタバコを吸うことを優先します。暇さえあれば、すぐに喫煙所に行こうとします。急な仕事の話がきても、すぐ仕事に戻らずダラダラと喫煙所でタバコを吸っているのです。時間が空いたら空いたで、30分でも1時間でも喫煙所で時間を潰します。

これは、タバコというより仕事に対する姿勢の問題ですが、デキない喫煙者ほど、仕事に対する姿勢がいい加減な傾向があります。これでは、将来は間違いなくリストラ候補になってしまうでしょう。

ようするに、デキない喫煙者はタバコに依存し、タバコに吸われているのです。そして、その自覚もありません。翻って、デキる喫煙者は、タバコを吸うことを自分でコントロールできているのです。

結局は、自分をコントロールできるか、自分をコントロールできないか、この違いなのです。自分をコントロールできない人に、自分の人生を変えることはできません。そういう意味で、タバコは自分をコントロールできるかどうかのバロメータにはなるでしょう。それでも私はオススメできませんが。