「デキる人ほど仕事が速い」とは、よく言われることです。
これまでの日本企業では、速さより正確さが重視されてきました。たしかに、正確さは必要ですが、ここ5~6年くらい前から、日本企業でも正確さより速さが求められるケースが増えてきています。
もし、あなたがデキる人だと呼ばれるようになりたいなら、今後速さは絶対に必要な要素になります。今回は、仕事を速くしたほうがいい理由、仕事を速くするための方法について解説します。
仕事が速いことのメリット
仕事が速いとどんなメリットがあるのでしょうか。結論からいえば、仕事が速いことの最大のメリットは、仕事が遅い人よりも多くの経験が積めるということです。
たとえば、ここにAさんとBさんがいるとしましょう。ある作業を終えるまで、Aさんは1時間、Bさんは20分かかるとします。同じ作業を、BさんはAさんの3分の1の時間で終えることになります。
この作業が単純作業だとして、2人は1日8時間作業をします。すると、Aさんは1日に8回作業が完了します。Bさんは1日に24回作業が完了します。Bさんの作業時間はAさんの3倍ですから、当然、作業量にも3倍の開きがでることになります。
この作業量の差は、そのまま熟練度(スキル)の差となって現れます。この状態のまま半年もすれば、もうAさんはBさんに追いつくことはできなくなるでしょう。これは、他の仕事についても同じことがいえます。
いまだに日本の大企業では、社内向けの資料作りにやたらと時間をかけ、ほとんどの人が、毎月枠いっぱいまで残業している会社もあります。若いころからこのような働き方に慣れてしまうと、その人は年をとってから必ず後悔することになるでしょう。
毎日ダラダラと資料作りに時間をかけてきた人、毎日手早く仕事を片付けてきた人、10年も経てば、これらの人たちの経験値の差は、埋めようがないほど開いてしまうことになります。仕事が速い人は、遅い人の数倍の経験値を持つことになるからです。
もちろん、市場価値が高くなるのは経験値が高い人になるでしょう。
また、仕事が速いと、普通の人が10年かかるところを3年で終わらせ、次の仕事に移ることができます。そして、新しいことを再び学ぶことができるようになるのです。人生全体で考えてみると、仕事が速い人ほど多様な経験を積むことができるということになります。
人間は多種多様な経験を積めば積むほど、あらゆる状況に対応できる力がつくのです。そのような臨機応変な対応力があれば、どんな状況でも安定して生活の維持ができるようになります。これが本当の安定というものです。
仕事が速い人は経験値が上がる → 色んな経験が積める → 対応力がつく → 生活が安定する
速さと正確さを両立する方法
そうはいっても、仕事においては、やはり正確さも重要な要素であることは間違いありません。とくに、社外向けの資料や見積もりなどに誤表記があれば、ときとして会社に大損害をもたらすことにもなるからです。
では、速さと正確さを両立するには、どのようにすればいいのでしょうか。まずは、速さや正確さを意識することですが、これはタイプによって異なります。
仕事はとにかく速いけどミスが多いタイプ。こういうタイプは、少しだけスピードを落とし、正確さを意識して仕事をする必要があります。反対に、仕事は遅いけど正確な仕事をするタイプ。こういうタイプは、スピードを意識して仕事をする必要があります。
そして、仕事の正確さを高めるために、最も重要な要素は注意力です。
文字に対する注意力の高め方
あなたの仕事が作業者への指示や資料作成といった、文字や言葉を中心とするものなら、まず文字に対する注意力を高めなければなりません。文字に対する注意力とは、一つ一つの言葉の意味を理解して使えること、文字を正確に目で追って間違いを見つけられること、この2つが重要な要素となります。
こうした注意力は、読書をすることで高めることができます。文面の文字一つ一つを正確に目で追って、意味を理解する、そして、わからない言葉があれば辞書で調べる。これらを習慣化すれば、文字に対する注意力は飛躍的に高まります。
作業に対する注意力の高め方
あなたの仕事が何かを組み立てたり、作ったりするような、身体を使った作業中心のものであれば、自分の動作に対する注意力を高めなければなりません。これには、一つ一つの動作を細分化し、手順を文字や言葉にすることで高めることができます。
何も考えず漫然と作業をしていると、同じ場所で何度も同じミスをすることがあります。そんなとき、自分の動作に意識を集中し、自分がどんな動作をしているのか把握する必要があります。そして、どうすればミスがなくなるのかを考えるのです。
「こういう動作をしたときはミスがない」ということがわかれば、それをメモしておきます。次の作業時に、ミスのない動作を意識して作業を行えば、作業ミスは減っていくはずです。
他にも、自分の作業を手順書化するという方法もオススメです。作業を手順化するということは、一つ一つの手順を文字にしなければなりません。自分が慣れて分かっているようでも、いざ手順書にしてみると案外抜けがあるものです。
「自分が作業をしているとき、どこに注意しているのか?」ここを文字にすることで、普段、自分が無意識にしている動作も意識することができるようになるのです。
速く仕事をするための要素
注意力が高められたら、正確さは身についてくるので、あとは仕事を速くすればいいだけです。とはいえ、仕事を速くするためには、いくつかの要素があります。
文字や言葉の理解力を高める
判断力を高める
使用している機械やソフトの機能を覚える
同時並行で作業をする
身体を動かす作業系の仕事であれば、まずは自分の身体を速く動かすことで、作業スピードを高めることができます。ただし、人間である以上、体力的な限界もあるので、他の方法と併用したほうがいいでしょう。
文字や言葉の理解力が低いと、仕事は速くなりません。理解できるまで何度も相手に聞き直したり、指示を間違えてやり直したりすることになるからです。どこの会社でも、そこまで難しい指示を出す人はいないので、相手の言葉をすぐに理解できるくらいの理解力は読書でつけておきましょう。
日本の会社には、判断に時間をかける人が異常に多いような気がします。ただ決めればいいだけなのに、責任区分がどうのと決めたがらないのです。判断で止まってしまうと、次の作業に進むことができませんから、仕事を速くするために、ここは案外重要な部分になります。
仕事で使う機械やソフトの機能を覚えておくのも、仕事を速くするためには必要です。WindowsのショートカットキーやExcelの関数・マクロなどが有名ですね。あのような機能を知っておくことは、仕事を速くこなすために役立ちます。
【同時並行で作業をする】
仕事が速い人というのは、常に3つ4つの仕事を同時進行で進めていることが多いです。いわゆるマルチタスクというやつです。たとえば、ある仕事を進めていて、途中で関連部門の承認が必要になることがあります。承認には半日ほどかかるとしましょう。そんなとき、仕事が遅い人は次の仕事をせず、承認が終わるまで何もせず待っています。しかし、仕事が速い人は、承認待ちの時間を他の仕事を進める時間に充てているのです。
このように、仕事というのは複数を同時進行できるようになっておかなければなりません。とくに、高収入の仕事ほどマルチタスクを求められます。3つや4つどころか、酷いときには7つ8つの案件を同時進行でこなさなければいけないこともあります。ですので、将来的に高収入を目指したいという人には、マルチタスクは必須のスキルとなります。