今の世の中には嫉妬がはびこっています。
男女関係はもとより、仕事でも、お金のことでも、今の人間社会ではあらゆることに嫉妬がつきまといます。そして、多くの人たちは、人が嫉妬するのは当然だと考えています。
しかし、それは本当に正しいのでしょうか。私は、現代における嫉妬のほとんどは、誰かに仕組まれ、刷り込まれたものだと考えています。嫉妬心の強い人間ほど、コントロールしやすいからです。
刷り込まれる嫉妬心
嫉妬の代表格といえば、やはり男女関係でしょう。自分の彼氏や彼女が、違う相手と親しげに話したり遊びにいけば、多くの人は嫉妬心に駆られます。
「これが普通の人間の行動だ」・・・世の中の99%の人はそう考えているでしょう。私も昔はそう考えていましたが、ここ最近はそうでもないと考えるようになりました。私たちの嫉妬心は刷り込まれているような気がするからです。
たとえば、恋愛系のテレビドラマであれば、必ず嫉妬する場面が出てきます。自分の身近な人たちでも、旦那が浮気すれば嫉妬し、他人が自分よりいい生活をしていれば嫉妬する。こうした場面を幼いころから何度も見せられていると、人はそうした行動が当たり前だと考えます。そうして、長い時間をかけ、私たちの無意識に刷り込まれていくのです。
もちろん、人間の感情として、自然発生的に生まれる嫉妬もありますが、現代では刷り込まれた嫉妬の方が多いように私は感じます。
利用される嫉妬心
嫉妬は、人間心理を理解している悪人にしばしば利用されています。たとえば、職場では「アイツはお前より成績がいい」とか「アイツはお前らより結果を出している」と部下を焚きつけて、自分の思うように働かせてやろうという上司がいます。
恋愛では、相手の気を引くため、べつの相手にアプローチして嫉妬心を抱かせようとします。商売でも、「周囲の人に自慢できますよ」「これを持っていれば一目置かれますよ」といった営業トークがあります。とくにバブル時代には、そうした他人と比較させて商品を売るという手法がよく見られました。
人が嫉妬を抱く場合、その背後には常に競争心や劣等感というものも存在します。競争心や劣等感の強い人ほど、そこにつけ込まれてしまうのです。気がつけば、相手のいいようにお金を使わされていたということになりかねません。
嫉妬ほど人生をつまらなくするものはない
嫉妬心に駆られた人というのは、どんなに収入が増えても、どんなに権力を持っても、心が穏やかになることはありません。
世の中、必ず上には上がいるものです。彼らは、自分より上の人間を見れば嫉妬の炎を燃やし、相手の悪口をいい、足を引っ張ろうとするのです。常に誰かに嫉妬し、自分で自分の気分を悪くしているのです。
私は、それが彼らの本当の意思ではなく、何者かの意思で踊らされているような気がしてなりません。彼らの多くは、自分が嫉妬に支配されていることに気づきません。嫉妬によって、自分の人生を自らつまらなくしていることもわかっていないのです。
それは同時に、彼らが自分の人生を歩めていないことを意味します。何者かに歩まされている人生に、面白味など感じるわけがありません。
嫉妬しているうちは半人前
私はこれまでの人生で、嫉妬に駆られ、自分の人生を台無しにしている人を何人も見てきました。
嫉妬心が強く、いつも不機嫌で周囲から人が離れていった人。いらぬ嫉妬が原因で、離婚してしまった人。嫉妬心が原因で破産してしまった人。自分の子供に見捨てられた人。人間関係で苦しみ続けている人。
嫉妬で人生をつまらなくしている例など、数え上げればキリがありません。しかも、彼らのほとんど、いや全員といっていいほど一人で苦しんでいます。彼らは自分の行動を省みようとはしません。そのため、自分で自分をコントロールできないのです。
嫉妬はしばしば人に強い疑念を抱かせます。疑念は、人の判断力を鈍らせ、周囲によくない感情をまき散らします。それによって人が離れていくことになるのです。本心では、もっと人に好かれたい、もっと仲良くしたいと願っていたとしてもです。
可愛そうかもしれませんが、こうした人は結局のところ人間が未熟なのです。未熟であるがゆえに、自分自身をコントロールできず、苦しみばかりを自ら引き寄せているのです。
だから私は、嫉妬しているうちは人として半人前だと思うのです。
一人前の人は、たとえ嫉妬心が湧いてきたとしても、自分が嫉妬していることをすぐに理解します。人によっては、嫉妬心が湧いてくると、「自分は一体何を考えているんだ」と自らを戒め、嫉妬心を瞬時に意識の彼方へ飛ばすことができます。そのため、嫉妬に支配されることがないのです。
嫉妬に支配されない人は、他人に対して負の感情をまき散らすことがありません。いらぬ疑念を抱くこともないので、安定した人間関係を築くことができるようになります。
そのため、嫉妬の攻略は、私たちの人生において、非常に重要な要素だと私は思うのです。嫉妬を抑えコントロールできるようになれば、人生は間違いなく好転します。
誰の心にも潜む嫉妬。
考えようによっては、これも神様が私たちに与えた試練なのかもしれません。