ブラック企業に3年も勤めるな

「ブラック企業に3年も勤めて一体なんの意味があるんですか?」

以前に私が勤めていた会社で、26歳の若者と50代の男性社員がちょっとした口論になりました。そのとき、50代の男性は言いました。「26歳で3回も転職って・・・ちょっと転職しすぎじゃない? 石の上にも3年って言うやろ」それに対して、26歳の彼はこう返したワケです。

私は大笑いしました。彼の考えに賛成だからです。50代の男性社員は「ま、まあ確かにそうかもしれんけど・・・」と、なんともいえない表情をしていたことを覚えています。その50代男性は、比較的物わかりのいい人だったので、少しは彼の言葉に納得したのでしょう。

私が20代のころは、「石の上にも3年」という言葉が金科玉条の如く世の中に浸透していました。「どんなブラック企業であっても、3年も続かない奴はダメだ!」というレッテルを貼られていたのです。私は「その考えは間違っている」と当時から思っていました。

ブラック企業に3年勤めると悪いクセがつく

「悪い師に3年つくより、3年かけて良い師を探せ」という言葉があります。これは悪い師匠のもとで変なクセをつけられるより、良い師匠を3年かけて探したほうが、人生にはプラスになるということだと私は解釈しています。

企業に勤めるということも、ある意味でこれと同じ要素があります。ブラック企業というのは、ほとんどの場合、自分が指導を受ける上司や先輩の質が悪いことが少なくありません。ロクに教えることもせず、文句ばかり言われたり、違法行為を強制されたりと。

3年も勤められるということは、少なからずその環境に適応しているということです。ブラック企業に適応してしまうと、おかしな仕事のやり方が身についてしまいます。

とくに、新入社員からの3年は強く影響を受けます。5年も勤めれば、もう相当に悪い仕事のやり方が染みついてしまっています。本人がそれを自覚していれば、まだ救いがありますが、ほとんどの場合、本人にはその自覚がありません。

私の職場に27歳の若者がいます。彼は専門学校を卒業してから5年間、ブラック企業で働いていました。彼を見ていると、前職の悪いクセがまだ残っていると感じます。しかし、本人にはその自覚がないため、悪いクセを修正することができないのです。そもそも、それが悪いことだと思っていないようなのです。

今、私たちがいる会社は外資系なので、とにかく結果が重視されます。仕事のやり方を変えることができなければ、今後も彼が評価はされることはないでしょう。

ブラック企業で身につきやすい3つの悪習慣

では、実際にブラック企業はどのような悪習慣が身につきやすいのでしょうか?
私がよく感じるのは次の3つです。

 ダラダラと仕事をする
 パワハラ
 強引な仕事

ダラダラと仕事をする

ブラック企業というのは、基本的に長時間労働&薄給が定番です。社員にお金を与えず、時間を奪うことで転職をしづらくしているのです。

そのため、普段の仕事のやり方が非効率でも、改善することをしません。その結果、ブラック企業で働く社員たちは、ダラダラと非効率な仕事を長時間させられることになります。

そんな環境で何年も仕事を続ければ、仕事を改善しようという気は起きなくなるでしょう。そして、会社にダラダラと残って仕事をすることが板についてしまうのです。

ブラック企業で長年働いてきた人というのは、こういう人が少なくありません。転職していい会社に入れたとしても、以前の習慣が抜けず、ダラダラと仕事をして残業代を稼ぐのです。

これまでの日本企業だと、それでもまだやっていけたでしょう。しかし、これからは違います。近い将来、残業代に見合ったアウトプットがない人は、次々とリストラされることになります。

パワハラ

長時間労働、薄給に加え、ブラック企業ではパワハラが常態化していることも珍しくありません。「先輩や上司のいうことは絶対」「口答えや反抗することは一切許さない」このような厳格な上下関係を敷かれることがよくあるのです。

先輩や上司から毎日のように理不尽な説教を喰らえば、普通の人間なら誰でもイライラしてきます。そうして、無意識のうちに自分も後輩や部下にキツく当たるようになっていくのです。そうしなければ、自分の身がもたないからです。

パワハラをする中高年たちから、こんな言葉を聞くことがあります。「俺たちだってやられてきた」「当たり前だったので、それが悪いことだとは思わなかった」

普通に考えれば、パワハラが倫理的に問題があることは明らかです。しかし、パワハラが普通の環境に適応してしまうと、それが悪いことだということすら忘れていくのです。

パワハラを甘く見てはいけません。パワハラの常態化した会社では、人はクリエイティブな仕事をすることはできないのです。パワハラを放置すれば、会社の業績は低迷し、いづれ倒産か買収の憂き目にあうでしょう。今、多くの日本企業が低迷していますが、その根本原因にパワハラがあると私は感じています。

また現時点でも、まともな会社ほど、パワハラには厳しく対処するようになってきています。パワハラする人からは、どんどん人が離れていくので社内の重要なプロジェクトも上手くいきません。そうなると、「もう彼に仕事は任せられない」ということになるのです。

強引な仕事

ブラック企業では、違法行為や犯罪まがいの仕事のやり方を強制されることもあります。そうした仕事のやり方が身についてしまうと、次の会社でも同じように、手段を選ばない汚い仕事をするようになるのです。

「それでも結果さえ出ればいい」そのような会社もありますが、そういった会社は年々少なくなってきています。なぜなら、近年はSNSの発達により、悪いことはすぐに暴かれ、あっという間に社会に広まってしまうからです。

まともな会社ほど、そうしたリスクは避けたいと考えています。会社によっては、前職がブラック企業だと書類選考で落とす会社まであるのです。そのため、業界で悪い噂の立つ会社には、近づかないほうが無難なのです。知らずに入社したとしても、さっさと見切りをつけて離れるのがいいでしょう。

ブラック企業の経験はほとんど役に立たない

ブラック企業というのは、その性質から、給与アップに繋がる高度な仕事はまずないと考えていいでしょう。

私もバイトや契約社員で何度かブラック企業に勤めたことがありますが、誰でもできる単純作業がメインの会社ばかりでした。職場環境や待遇が悪いため、頭のいい人間が残らないのです。だから、少しやれば誰でもできるような仕事しか回ってこないのです。

そうした環境に何年も身を置くのは、時間の無駄と考えて差し支えありません。冒頭の若者が言ったように、ブラック企業に3年勤めても意味はないのです。

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