需要と供給を意識しよう

あなたは普段、需要と供給を意識していますか? この需要と供給の考え方は、今の世の中あらゆることに応用することができます。

簡単に説明すると、需要とは誰かが欲しいと思っているモノ、供給とは誰かが欲しいと思っているモノを与えることです。たとえば、需要=PS5が欲しいと思っている1000人、供給=PS5を作って売ること。

よく「他人と違うことをやれ!」と言われますが、他人と違うことをするということは、需要に対して供給が少ないことをするということです。供給が少ない分野では、実行のハードルが下がったり、金銭的なうま味があることも少なくありません。

私自身も人生のポイントで、この需要と供給の関係を意識してきました。そして、需要に対して供給が上回っていることには極力手をださないようにしてきたのです。

供給が過剰な分野で得をするのは一部だけ

「競争をしないといけない」という考え方があります。自分の能力を高めたり、自分の利益を守るため、ときには競争も必要でしょう。しかし、世の中の9割の競争は自分にとって必要ないと私は感じています。

競争が激しい分野、つまり需要に対して供給が過剰な分野は基本的に狭き門であり、一部の人しか競争に勝ち残ることができません。ところが、世の中の大多数の人たちは、競争率の高いところに集まっていく傾向があります。

競争率が高い=人気があることですから、とりあえず人気がある分野なら間違いないと考えるのでしょう。たしかにそう考えるのも、妥当な判断ではあります。ただ、今の世の中、リスクの少ない妥当な判断をする人は多いので、全員がその恩恵にあずかることはできなくなります。

たとえば、好待遇で有名な会社があるとしましょう。そんな会社には誰もが入社したいと考えるので、たくさんの応募書類が届くことになります。でも、採用されるのはほんの一握りです。ほとんどの人たちは利益にあずかることができません。

社内での出世もいい例です。現在、どの会社でも9割以上の人たちは課長にすらなれません。非常に狭き門です。これも、需要に対して供給が過剰であると考えることができます。

資格の分野もそうですね。近年、とくに格差が激しいのが法律分野です。高難度で有名な司法試験に受かっても、仕事がない、年収200万という人もいるのです。これは、すでに資格保持者が大量にいるため、法律家同士で仕事の取り合いになっているからです。たとえ弁護士の資格があったとしても、仕事を取ってこれなければ、その恩恵にあずかることはできないのです。

需要に対して供給が少ない分野を狙え

このように、みんながいいと思う分野には人が殺到しますから、自分が利益を得るためのハードルはおのずと高くなります。ですので、私はそうした人が殺到する分野には極力手をださないようにしてきました。

もちろん、あなたがどうしてもやりたい、興味がある、ということなら挑戦するのもいいでしょう。ですが、とくにこだわりがないというのであれば、競争相手が多い分野は避けた方がいいと思います。

需要に対して供給が少ない分野を狙った方が、大きな利益を得ることができるからです。

ドバイの日本人美容師は1カット15万!?

以前、私の友人から面白い話を聞きました。その友人の同級生が、ドバイで美容師をしているそうです。ドバイというのは、知ってのとおりアラブ首長国連邦の都市で、とにかく金持ちが多いことで有名です。

そこで美容師をしている彼の同級生は、なんと1カット15万で仕事をしているというのです。

日本なら、東京のド真ん中、どんなに高いところでも1カット5万円くらいではないでしょうか。ドバイだと、その3倍も稼げるというのですから驚きです。

理由は単純なことで、その当時、ドバイには日本人の美容師などほとんどいなかったのです。海外では、日本人は緻密な仕事をすると評判なので、その美容師さんのもとに金持ち客ばかりが訪れるようになりました。その結果、1カット15万で仕事をすることができるようになったのです。

ドバイほどではありませんが、中国の上海などでも似たような話を聞いたことがあります。そこでは、日本人美容師さんで1カット6~8万くらいが相場のようです。

日本では、コンビニの数より美容室の数が多いといわれています。つまり、供給が過剰であるため、低価格にせざるをえないのです。そういった過当競争の分野で勝つためには、他の店にはない特色を出す必要があります。

そのため、最近では専門店化が進んでいるようです。アフロ専門店とか、カラーリング専門店といった具合に。ネイルサロンや、手もみ専門店なども、ニッチな専門分野を見つけたことで、今では一般的になりました。

ただし、一般化すると世間の認知度が上がる反面、競争相手も増えます。そうなると、価格競争に巻き込まれ、自分たちの利益はどんどん減っていくことになります。なので、常に供給の少ないニッチな分野を探していかなければならないのです。

需要と供給で「他人と違う行動」がハッキリとする

これは私たちサラリーマンにも当てはまることです。たとえば、有名企業や大企業を狙わずに、中小企業で待遇のいい会社を探してみる。給与水準は高いけど、あまり人気のない職種を狙ってみるなど。

そうすることで、競争に巻き込まれず高い利益を得ることができるようになります。たしかに、競争もときに必要ではありますが、その競争が激しいほど、多くの時間と労力が必要になることを忘れてはいけません。

ですから、自分が参加する競争はちゃんと取捨選択しなければならないのです。する必要のない競争に、人生の大切な時間と労力を費やすことは、自分の人生の目的から遠ざかることになってしまいます。

「人と違うことをやれ!」とよくいわれますが、この言葉は非常に曖昧で具体性がありません。そのため、ほとんどの人たちは「人と違うことってなんだろう?」と思っていることでしょう。

そんなときは、需要と供給の関係を思い出しましょう。需要と供給という基準を意識することで、「人と違うこと」が明確になってくるはずです。