意味のない目標管理制度

もう十数年前くらいからになるでしょうか? 目標管理制度というものが、日本の多くの企業で導入されるようになりました。

私もこれまで4社ほど、目標管理制度を採用している会社で働いたことがあります。ただ、実際の運用として何らかの成果をあげている会社があるのかといえば、ほとんどないのではないでしょうか?

少なくとも、私が勤めてきた会社では、すべて「絵に描いた餅」で終わってました。ハッキリ言って、社員に無駄な労力を増やすだけで意味がないとしか思えなかったのです。

恐らく、私が知らない他の会社でも状況は似たようなものでしょう。

まともに運用ができていない現実

目標管理制度を知らない人のために、最初に簡単に説明しておきます。目標管理制度とは、4半期ごと(3ヶ月に1回)に自分で達成したい目標を決め、4半期の終わりに上司と面談、そこで自分が立てた目標をどれだけ達成できたかで評価を決めるものです。

自分で立てる目標も、ほとんどの場合、一つではなく3つも5つも立てないといけないことが多いです。会社によっては、目標管理フォームに記載箇所が多く、それを書くだけでもかなりの時間を取られることもあります。

成果主義の高まりから、次々と導入されている目標管理制度ですが、実際に運用できているかといえば、できてないことのほうが多いのではないでしょうか?

目標を設定したところで、上司がまともに見ていなかったり、適当に数字だけ合わせて成果があがったことにしていたり・・・私が勤めてきた会社では、そのようなことが横行していました。

どうせ時間をかけて目標管理シートを書いたところで、まともな評価に繋がらないのです。それなら、社員に労力を使わせるだけ無駄というものでしょう。

そもそも、多くの日本企業は、海外のやり方をただ真似るだけで、自分たちの会社に合わせて改良していません。コンサルタントに言われるまま、何かのテキストに書いている内容をそのまま真似るだけなのです。

それは結局、自分たちがまともな評価基準を持っていないということです。自分たちがまともに評価できないのに、外から新しい評価制度を持ってきたところで上手くいくわけがありません。

結局は上司の胸先三寸で決まる

その結果、ほとんどの会社では、上司が目標を設定したり、上司の個人的感情で評価が決まるという従来の日本的なやり方に戻っているのです。それなら、初めから目標管理などしないほうがマシだと思います。

そもそも、目標管理制度では、自分が立てた目標をほとんどの人が達成しています。その内容をよく見てみると、簡単に達成できる目標しか書いていなかったり、虚偽記載をして数字だけ合わせ、目標を達成したことにしていたりと。

そして、上司も目標達成の判断ができない、または確認するのが面倒なため、結局は自分の一存で評価を下すことになるのです。とくに日本の上司は、自分の印象で評価を決めることがよくあります。その印象というのも、ハッキリしておらず、なんとなくそんな気がするという曖昧なものです。

そのため、上司のいないところではサボっているのに、上司のいるところでは一生懸命仕事をしているフリをする。または、上司におべっかばかり使っている。そんな人が評価されるというおかしなことが起こるのです。当然、周囲の社員たちは皆シラけていきます。

評価基準は単純でいい

だいたいが目標管理など社員一人一人にさせたところで、ほとんどの人が目標を達成したと書くに決まっています。それで、全員一律に昇給アップするならいいのですが、そんなことを許す会社などまずありません。どう考えても、個人で目標を管理させるやり方には無理があるのです。

かといって、すべての会社に明確な評価基準があるのかといえば、そんなこともないのです。先に書いたように、どの会社でも上司が自分の印象で適当に評価を決めているのが現実だと思います。

では、どうすればいいのかというと、評価基準を単純にすればいいのです。

私が最後に勤めた派遣会社を例にあげてみましょう。その派遣会社でも目標管理制度が導入されていました。目標管理シートに記載箇所も多く、3ヶ月ごとに書かなければならないため、非常に面倒でした。派遣会社ですから、それを書いたところで来月から「時給が○○円アップ!」というワケにもいきません。

派遣社員の場合、なにが最も会社の利益になるのかといえば、結局は派遣先の会社でどれだけ長く在籍したかなのです。一つの会社に長く在籍してもいいですし、待機期間なく次々と派遣先の会社を変わってもいいでしょう。とにかく、派遣先の会社に長く在籍することが、派遣会社の利益になるのです。

それなら、在籍期間で評価するのが妥当というものです。そこが会社の核心的利益なのですから、他の評価基準など大した意味を持ちません。むしろ、余計な評価基準を加えることで、評価制度自体が曖昧なものになってしまう可能性すらあるのです。

今、同一労働同一賃金制度について、厚生労働省で盛んに議論されています。これは、正社員の賃金を下げるための制度だという声もありますが、評価だけで考えれば公平な制度だと思います。この仕事だと時給1000円、あの仕事だと時給2000円。そうなると評価基準も単純化され、正規雇用と非正規雇用の間での不公平感はなくなっていくはずです。

同一労働同一賃金の制度が実際に実用化されるかわかりませんが、評価基準を単純化できる点においてはやってみる価値があるかもしれません。