日本の中高年はなぜ自信がないのか

日本人は他の国の人たちと比べ、自信のある人が少ないといわれています。

私も社会に出てから、同じことをずっと感じてきました。若いうちならまだしも、40歳を過ぎても、50歳を過ぎても自信のない人ばかりなのです。なぜこんなことになるのでしょうか?

サラリーマン社会の弊害

一番の理由は、やはり日本がサラリーマン社会だからでしょう。日本の労働人口の9割はサラリーマンだといわれています。

とくに、これまでの時代においては、上から降りてきた仕事を、文句も言わず黙々とやるだけでそれなりの生活が保障されました。ここに落とし穴があります。

日本のサラリーマンというのは、なんだかんだで保護されています。とくに、大企業の社員は過保護といっても過言ではないでしょう。「過保護にすると子供はダメになる」とはよくいわれることですが、これは大人にも当てはまるのです。

日本のサラリーマンに自信が持てなくなる理由には、以下のようなものがあります。

 責任を取る必要がない
 経験の大半が他人からの指示による
 冒険をしていない

責任を取る必要がない

サラリーマンに限らず、自信が持てなくなる最大の原因は自分で責任を取らないことです。責任を取るというのは、それなりの痛みが伴います。金銭的、精神的、あるいは肉体的なダメージがあるのです。

そうした損失を受け入れるには、多少なりとも腹をくくらなければなりません。腹をくくって損失を受け入れることを何度も経験することで、度胸や自信というものがついてくるのです。

ところが、日本のサラリーマンというのは、ほとんど責任を取る必要がありません。

酷い人間になると、自分の責任を部下や後輩、あるいは下請け業者に押しつける者までいるのです。しかも、大きな会社になるほど、それがまかり通ってしまうところがあります。

若いころから、責任を取らずに年だけとった人間に、自信などつくはずがないのです。

経験の大半が他人からの指示による

日本のサラリーマン社会、とくに私が長年身を置いている製造業などは、とにかく言われたことだけをやっていれば済む業界です。そのため、自分で何かをしようと考える人は非常に少ないのです。大量生産の製造業では、会社自体も大きくなりがちなので、仮に自分が意見を言ったところで通りにくいという理由もあります。

そうした環境で長年働いていると、だんだんと深く物事を考えなくなっていくのです。そして、多くの人が毎日、決まりきった生活パターンにハマっていくようになります。

製造業だと大企業の社員でも、仕事が終わったらパチンコ屋に直行、家に帰ったら風呂と夕食を済ませて寝る。私くらいの世代は、そのような生活パターンを繰り返す人ばかりでした。

こうした生活パターンを繰り返す人というのは、人生経験の大半が他人からの指示で成り立っています。自分の意思で行動していないのです。若いときから、自分で物事を考えて行動する経験をしていないと、いざというときに対応できません。会社の倒産やリストラといった不幸にあったとき、右往左往することしかできないのです。

自信のある人には対応力があるので、そんな状況に逢ってもすぐに次のことを考えることができます。若いころから、色々と考えて自分の意思で行動する癖がついているからです。

冒険をしていない

終身雇用、年功序列の制度下で長年働いてきたサラリーマンは、自分の人生で冒険といえることを経験していません。冒険というのは、常にリスクが伴います。若いころから、リスクを取る経験をしていない人は、年をとってからもリスクを取ることができなくなるのです。

なぜなら、年をとるほど背負う物が増えていくからです。リスクを取ると、自分がこれまで得た物を失う可能性もあります。リスクを取る経験をたくさんしていないと、そのリスクを取ったとき、どんな損失があるか想像がつきません。そのため、不安ばかりが大きくなり、リスクを取る行動ができなくなるのです。

自信のある人は、リスクを取ることができます。それは、リスクを取ったとき、どんな損失があるのか想像ができるからです。もし想像ができなくても、「どんな損失でも受け入れてやろう」という気概があります。それはとりもなおさず、自分が若いころから冒険をして、リスクを取る経験を積んできたからできることなのです。

痛みをともなう経験が自信を作る

結局、痛みをともなう経験をすることでしか自信というものはつきません。それも一度ではなく、何度も何度も経験することが必要なのです。何度も痛みを経験することで、次第にその痛みに慣れ、耐久力がついていくのです。

日本のサラリーマンの大半は、このような経験をしていません。だから、中高年になっても大したこともないことで慌てることになるのです。自己保身に走り、責任を下に押しつけるような醜態をさらすことになるのです。

これはどう考えても自信ある大人の姿ではないでしょう。

しかも、部長や役員といった幹部クラスの役職者がそんなことをやっているのですから、もうため息しか出ないというものです。私自身も中高年と呼ばれる世代ですが、今の中高年世代の体たらくを見ていると、本当に情けない気分になります。

私は、若いころに大人たちのこうした姿を見て、「自分だけはこうなるまい」と心に決めました。考えたことをすぐ実行に移すので、若いころは色々と酷い目にも遭いましたが、今考えてみるとそれで良かったと思っています。

なので、これからの若い人たちには、失敗やリスクなど恐れず、自分のやりたいことを思い切ってやって欲しいのです。若いころの失敗は、なんだかんだで取り返しがつきます。今の世の中には情報もたくさんあるので、物事の解決もしやすいでしょう。

精神的、肉体的、金銭的にキツい状態に陥ることもありますが、そうした状況を乗り越えることでしか、本当の自信というものはつかないのです。会社の中という狭い世界で部長になったとしても、それは借り物の自信でしかありません。

これからの若い人たちには、そんな偽りの自信ではなく、本物の自信を持った大人になって欲しいと思います。