転職エージェントとのつき合い方

今となっては、すっかりネットでの転職活動も定着してきました。

転職サイトに履歴と経歴を登録することで、企業の人事担当者から直接スカウトされることもあります。また、転職エージェントからスカウトされることもあります。

そのため、近年の転職市場では、この転職エージェントの存在が無視できなくなってきました。彼らは、一般的に公開されていない非公開求人も取り扱っています。場合によっては、その非公開求人が予想以上の好条件ということもあるのです。

私も、最終的には良い転職エージェントとの出会いを通して、好条件の職にありつくことができました。今回は、そんな私自身の経験をもとに、転職エージェントとのつき合い方について書いてみましょう。

転職エージェントの特徴

一般的に、転職エージェントには日系と外資系の2種類が存在します。一般的によく知られているのは、リクルートを筆頭とした日系だと思います。外資系の転職会社は、日系に比べてまだ認知度が低く、一般的にはあまり知られていません。

以前は、転職サイトに登録すると、ほとんどの場合、日系の転職エージェントから声がかかりました。しかし、ここ最近、少しずつ外資系エージェントからの声かけも増えてきているようです。

私も日系、外資系の両方と接したことがあります。その経験を通して感じた、国内系と外資系のエージェントの違いについて、私の意見を述べてみます。

日系エージェント

日系とはいうまでもなく、日本企業のことです。日本企業のエージェントというのは、大半の会社が固定給で歩合給がありません。そのためか、転職経験のない若い人たちがエージェントになっていることもあり、力不足を感じることがよくあります。

私自身、これまで何度も日系エージェントと面談をしました。彼らは、こちらの希望を伝えても、相手先の企業にそれを通す気があまり感じられません。ベテランであるはずの30代半ばのエージェントでも、書類の内容が悪いとどうにもならないの一点張りです。そのとき、私は「自分からスカウトしておいてそれはないだろう」と憤りを感じたものです。

書類をただ右から左に流すだけなら誰にでもできます。

彼らには、ノルマはあっても歩合がないためか、本気さが感じられないのです。正直なところ、これならエージェントを使う必要はないと私は感じました。日系のエージェントは、企業の人事担当者の小間使いに成り下がっているような気さえします。

もちろん、最近はこうした傾向も一部で改善されつつあるとは思います。ビズリーチなどのハイスペック案件なら、それなりに腕利きのエージェントがそろっているはずです。しかし我々一般人を扱うエージェントのレベルは、日本はまだ発展途上だと感じます。

ただし、非公開求人を扱っているという点については、日系も同じなので、自分とウマが合うエージェントならつき合ってもおいて損はないでしょう。

外資系エージェント

外資系エージェントからも、何回かスカウトを受けました。彼らと話しをしていると、日系エージェントとは本気度が違うと感じます。彼らは、紹介した手数料の3~4割が自分の取り分になるからです。

仲のよいエージェントから聞いた話では、彼らは3年以内に結果を出せなければクビになるようです。しかも、基本給が1年目、2年目、3年目とだんだん減っていき歩合の割合が増えていくのです。そうなると、結果を出せなければ、生活すらままならないことになってしまいます。それは本気にもなるというものでしょう。

そういう状況ですから、少々強引なやり方をするエージェントがいるというのも事実です。ここは私たちも注意しなければならないところです。

ただ、国内系エージェントと比べて、振ってくる案件の数も多く、展開も早いので、転職活動がスピーディーに進みます。自分も書類の準備や面接などで忙しくなりますが、転職活動が短期間で終わるのは、私たちにとって大きなメリットだと思います。

日系企業は書類選考に2週間いっぱいかける企業も多いですが、外資系企業だと5分で書類が通ることもままあります。私も今いる会社は、エージェントが書類を出してから1時間後に書類選考通過の連絡が来ました。このスピード感は外資系企業ならではですね。

また、外資系エージェントは基本的に、最低でも5年以上の社会経験のある人に声をかけるようです。ある程度の経験がないと、相手先企業に売り込みがしづらいというのがその理由です。

日系でも外資系でも、転職は結局のところ書類8割なので仕方がないのです。

あとの2割の部分をどう売り込んで面接まで繋げてくれるか、それがエージェントの腕の見せどころなのです。日系エージェントだと早々に諦めるところでも、もう一押し頑張ってくれるのが外資系エージェトと日系エージェントの最大の違いでしょう。生活がかかっていますからね。

あと、外資系エージェントといっても、日本企業の案件も取り扱っているので、国内企業への転職を希望しているなら、相談してみるといいでしょう。

転職エージェントには積極的に情報を与えること

もし、エージェントがあなたに頻繁に連絡をしてくるなら、あなたは内定を取れる確率が高い人材だと思われている可能性が高いです。そうしたエージェントには、自分からも積極的に情報を与えてあげましょう。

頻繁に連絡をしてくるエージェントというのは、ヤル気もあるので、情報を与えてくれる人には、いい案件を優先的に持ってきてくれることもあります。やはり、人生はギブアンドテイクということなのです。

彼らが欲しい情報は、今あなたがいる会社でどんな求人を出しているか、どこの部署の人材が不足しているか、これから求人が増えそうか、といった情報です。聞かれないなら無理に答える必要はありませんが、もしエージェントがあなたの会社に興味があるようなら教えてあげるといいでしょう。

あと、こうした情報収集の部分においても、やはり外資系エージェントの方が日系エージェントより貪欲だと感じます。彼らは、いつも飯の種を探しているため、情報収集に余念がないのです。

思い返してみても、日系エージェントから会社の求人状況を聞かれたり、誰かを紹介して欲しいなど言われたことがありません。こうした仕事に対する姿勢が情報の差を生み、個人の力量の差となるのです。

転職できないことをエージェントのせいにしない

エージェントといい関係を築くには、転職に失敗してもエージェントのせいにしないことです。彼らも人間ですから、自分の利益を考えていますし、嫌な思いをする人間とは極力つき合いたくないと考えています。

会社が自分に合っているかどうかというのは、最終的には中に入ってみなければわかりません。エージェントが良いと思っている会社でも、自分には合わなかったというのはよくあることです。

その会社に行くと決めたのは自分なのですから、決めた以上は自分に責任を持ちましょう。

そうした姿勢を見せることで、「この人はしっかりしている」という印象を持たれます。そういう人には、エージェントも良い案件を持ってきてくれやすいので、いづれ良い転職先に当たります。

応募者の中には、転職が決まらないことをエージェントのせいにする人もいるようです。こういう人ほど、大した経歴もないことが多いのです。以前、知り合いのエージェントから愚痴を聞いたことがありますが、彼らも、そういう人とは積極的に関わり合いたくはないというのが本音です。

他にも、内定をもらった後、自分が決断できないので、エージェントに強く勧められて入社したものの、自分に合わなかったということがあります。そういうとき、「エージェントが強引に入社を決めた」と被害者意識を持つ人がいます。

こうした、決断力がなく被害者意識が強い人に、どのみちいい転職はできません。

決断力がないから他人に決断を委ねるしかなくなるのです。自分ができないことを人にさせておいて、上手くいかなかったら人のせいにするというのは子供のやることです。

被害者意識の強い人に、まともな仕事ができる人はいません。

少なくとも、長期に渡って安定的に職場の人間関係を保ったり、業務の遂行をすることは難しいでしょう。転職市場において、被害者意識が強い人はそのように思われるのです。当然、いい案件も回ってこなくなります。

日系・外資系問わず、エージェントが高評価する人材には必ず「主体性がある」「自己責任がある」という特徴が含まれていることを知っておきましょう。

エージェントはあくまでサポート役と心得る

もし、あなたがこれからエージェントを使ってみようと考えているなら、「エージェントはあくまでサポート役である」と認識することです。

なにをどういったところで、転職の主役はあなた自身なのです。

エージェントとは、主役に合いそうな案件を持ってきて、内定をもらえるようサポートすることしかできません。企業の担当者が内定を出す決め手は、あなた自身の人柄や能力であることを忘れてはいけないのです。同時に、その会社に内定をもらっても、入社するかどうか決めるのはあなた自身ということも忘れないようにしましょう。

あなたには、行きたくない会社の内定を辞退する権利もあるのです。たとえ内定をもらっても、行きたくないと感じたら辞退する勇気を持ちましょう。エージェントが怒ることもありますが、その会社で働くのはあなた自身なのです。決定権はあなたにあります。

私も、一度そこそこ条件のよかった内定を辞退したことがあります。そのとき、紹介してくれたエージェントは落胆して不機嫌になっていました。私は彼が一生懸命やってくれたことをよく知っていたので、彼に詫びた後、なぜ辞退したかについて説明しました。

結局、その1年後、同じ彼が紹介してくれた案件で、月給が10万アップしました。そして、そのまた10ヶ月後、彼の紹介で今の会社に転職できたのです。

私は彼に情報を与えていましたし、人を紹介したこともありました。そういう理由もあって、彼といい関係を築くことができていたのです。エージェントも人間ですから、自分に利益を与えてくれる人にはお返しをしようという気持ちも働くのです。

相手を一方的に利用しようとせず、持ちつ持たれつの関係を築くことは、すべての人間関係の基本です。自分の利益だけでなく、相手の立場や利益を考える、それがエージェトと良い関係を築くことになるのです。