秘密は話すから噂になる

「ここだけの話なんだけど・・・」
あなたはこうやって誰かに話を持ちかけたことはありますか?

こう前置きして話したことほど、しばらくすると周囲の人にも伝わっているものです。私も若いころ、それで何度か秘密を言いふらされた経験があります。

社会に出ても同様で、知られたくないことを人に話せば必ずといっていいほど、他の人も知るようになります。

中には口の固い人もいて、黙ってくれることもありますが、そういう人は本当に少ないと思います。

とくに、会社組織の中では、まず他の人に伝わると考えた方がいいでしょう。

人の口に戸は立てられない

”人の口に戸は立てられない”とはよくいったもので、他の人から聞いた話は、必ず他の誰かにも伝わります。それがその人の秘密であるほど、他人に話したくなるのが人情だからです。

私たち人間は、常に他人と会話でコミュニケーションを取ります。とくに、日本のサラリーマンは毎日のように同じ生活を送っていますから、新しい話のネタに飢えているところがあります。

そんなとき、「あのさ・・・俺ずっと秘密にしてたことがあるんだけど」などと話を持ちかけられると、聞かされた人は誰かに言いたくて仕方がなくなるのです。

それが今までにない新しい事柄であるほど、会話のネタになるからです。

話好きな人だと、他人の秘密など身体がウズウズするほど人に話したくなるでしょう。そういう人に口止めすること自体、無理があるのです。

自分の親友にもまたべつの親友がいる

学生時代などは、誰にも親友と呼べるほど仲の良い友達が1人くらいはいるはずです。親友と呼べるほど仲が良いということは、お互いに信頼関係がありますから、秘密を打ち明けてもいいと考えてしまいます。

ところが、親友だと思って秘密を打ち明けたのに、しばらくすると周囲に知れ渡っていることがあります。

これはどういうことかといえば、自分が親友だと思っている人にも、また親友と呼べる友人がいたということです。

たとえば、あなたがA、あなたの親友がB、Bのまた親友がCとしましょう。AがBに秘密を打ち明けると、BはCに話す可能性が非常に高くなります。

そして、CにはまたべつのDという親友がいる。こうして連鎖的に話が広がっていくのです。

中学や高校のように、狭い世界ではあっという間に噂になることも珍しくありません。そうなると、AはBに裏切られたと感じ、2人の信頼関係にヒビが入ります。

社会に出ても似たようなことはよくあります。

なぜ他人に秘密を話してしまうのか?

結局、誰にもバレたくないなら、誰にも話さないのが一番ということになります。

そんなこと、本当はみんなわかっているはずです。しかし、それでも多くの人が自分の秘密を他人に打ち明けてしまうのです。これはなぜでしょうか?

自分の秘密を他人に話してしまう一番の理由、それは自分一人で問題が解決できないからです。

人が他人に秘密を打ち明けるとき、まずその事柄に何らかの問題が発生していると考えて間違いありません。

秘密を打ち明けた人は、自分で問題を解決できる糸口が見つからないため、他人に助言を求めたいのです。

ところが、実際には問題が解決するどころか、話がますますこじれることも少なくありません。

なぜなら、秘密を打ち明けた相手に、問題解決をするだけの判断力や手段がないことがよくあるからです。

かといって、秘密を打ち明けられた人が悪人かといえば、そうとも限りません。本人は、相談されたことに対して、問題を真剣に解決しようとしていることもあるのです。

ただ、自分で解決策が浮かばなかった場合、その人はまたべつの人に相談することになります。そうして話が周囲に広がっていくのです。これが人間社会の難しいところです。

他人に秘密を話すときは周囲にバレる前提で話す

ですから、私などは、本当に他人に知られたくないことは、絶対に誰にも話しません。今となっては、大抵の問題は自分一人で解決できるので、他人に話す必要もないのです。

もし、私が自分の秘密を他人に話すときは、「必ず他の誰かの耳に入るだろう」という前提で話します。

そして、バレたとき最悪の事態や対処法もあらかじめ考えておくようにしています。そうすると、周囲にバレたときに慌てることがなくなります。

他人に秘密を話すときは、「バレたらバレたときのこと」そう考えて腹を括るのです。

あとは、秘密という秘密を持たないようにするのもいいでしょう。考えてみると、私には秘密という秘密がありません。過去に恥ずかしいことなどはあれど、それを知られたところで焦る必要はないと思っています。

誰にだって過去を振り返れば、後ろめたいことの一つや二つはあるものです。バレたときは笑い飛ばすか、事実は事実と受け止め開き直るしかありません。過去は修正のしようがないのですから。

また秘密を知られたとき、変に否定すると余計に詮索されて燃え上がることがあります。ですから、開き直って認めてしまった方が、あっさりと事が済むことが多いのです。

それが明らかな犯罪行為でもない限り、他人もそこまで追求はしないからです。

そう考えると、オープンな性格の人は最強です。「お前、昔こんなことやってたのか!?」と言われても、「うん、やってた」と言えば、それで事が済みます。

むしろ、「お前バカだなぁ~」なんてただの笑い話になってしまうこともあります。

秘密に対する私なりの結論としては、

・知られたくなことは絶対他人に話さない
・他人に知られたくないような秘密は極力持たないようにする
・どんな秘密を知られても開き直って動じない精神力を身につける
・自分で物事を解決できるだけの力量を身につける
ということになります。
結局のところ、どんな秘密もバレるときんはバレますから、バレたときのことを考えておくのがいいかもしれません。少なくとも、自分が酷く傷つかないよう心の準備くらいはしておきましょう。