どん底を経験した人の強み

貧困、毒親、低賃金、借金、裏切り、大病・・・今これらの苦労を経験している人は、ポジティブなことを考えるのが難しいかもしれません。

しかし、あなたの人生が上向いてきたとき、その苦労は必ずあなたの力になります。そうしたことを経験してない人より、確実にあなたの人間味は増すからです。

その昔、成功者の条件は ”大病、刑務所、破産” のどれかを経験することだと言われていました。これはある意味、正しい部分があります。

「人生において、苦しみを経験した方がなぜいいのか?」今回は、私自身の経験も踏まえ、それを解説していこうと思います。

苦しみを体験するほど想像力が増す

私自身、苦労してもっとも良かったと感じることは、他人の痛みがわかるようになったということです。人間というのは、基本的に自分が体験したことでないと想像することができません。

自分が他人から嫌なことをされれば、他の人がされたとき、どういう気持ちになるのか想像がつきます。もちろん、人によって感じ方はそれぞれですから、自分とまったく同じように感じるとは限りません。

自分が感じるより軽いかもしれませんし、もっと重いかも知れません。それでも、同じ体験をしてない人より、その人の気持ちが想像できることに変わりはないのです。

日本には、「若い頃の苦労は買ってでもしろ」という言葉があります。正直なところ、私は買ってまで苦労したくはありませんでしたが、結果として人並み以上の苦労をすることになってしまいました。

人間関係、仕事、お金など、色々な苦労をした結果、私は人より想像力が働くようになりました。おかげで、年をとるほど人に騙されたり、裏切りに遭うということがなくなってきたのです。仮にあったとしても、ほとんど損害がないほど小さいものです。

これは、若い頃に一通りの苦労を経験できたからだと思っています。

大きな苦労を経験すると客観性が高まる

冒頭で、その昔「大病、刑務所、破産」のどれかを経験することが成功者の条件だと書きました。これはどういうことかといえば、これらの苦労を経験することで、①客観性が高まる、②既存の価値観が崩壊する、という2つの理由があります。

とくに、①客観性が高まる、というのが人生において大きなメリットとなります。

大病や刑務所生活、破産を経験すると、普段より一人で考える時間が増えます。一人で考え事をすると、嫌でも過去の自分を振り返ることになります。「あのときはああすればよかった」「このときはこうすればよかった」と。

ときには反省したり、後悔したりすることもあるでしょう。そうやって自分と対話する時間が長いほど、人は自己を客観的に見つめることができるようになるのです。

そして、一度自分を客観的に見つめられるようになった人は、その後の人生でもずっと自分を客観視できるようになっています。

常に自分のことを客観視できる人は、より自分のことを知るようになります。自分のことを知れば知るほど、自分の進むべき道がハッキリとしてきます。自分の進むべき道がハッキリしていれば、周囲の雑音にまどわされることがありません。

自分の人生に集中し、一直線に目的までつき進むことができるようになるのです。だから成功できるのです。

苦労人ほど人並み外れた感性を持つ

多くの人々が感動するような演技、文章、その他の作品などを創り出す人たちは、間違いなく苦労人です。たまにモーツァルトのような天才もいるようですが、99%の人は苦労を経験しているはずです。

私の周囲でも、生まれたときからそこそこの家庭で、あまり苦労せず大人になった人は、他人の気持ちを汲み取る能力が少し低いと感じます。それはすなわち、想像力に乏しいということに他なりません。

そういう人はそういう人で、また私たちとは違った役割があるとは思いますが、最終的に大きな成果を出すことはできないでしょう。彼らのような人たちは、どちらかといえばエリートサラリーマンや役所勤めに向いています。反対に、クリエイティブさが求められる仕事には向かないのです。

これからの時代というのは、今まで以上にクリエイティブさが必要な時代です。クリエイティブさがあれば、どん底からでも一気に脱出できる可能性が高まります。物事を工夫したり、斬新なアイデアを考え出したりすることができるからです。

役者であれば、自分が苦労して喜怒哀楽の様々な感情を経験することで、高いレベルで演技への感情移入が可能になります。文章であれば、自分が苦労したほどに深い感情表現ができるようになるでしょう。絵画などの芸術作品でも、苦労を経験するほど自分の感情に深く入り込むことになるため、より深く表現をすることができるのです。

そして、そうした深い感情表現ができる人は、より多くの人々の心を打つことができるようになります。

どん底の経験を活かすために

しかしながら、どん底を経験してもどん底のままの人、這い上がることができる人がいます。両者の違いは何かといえば、自分を表現するために努力したかどうかの差です。

どんなに苦労して、色々なことに想像力が働くようになったとしても、それを表現する手段がないと意味がありません。

たとえば、私のように底辺家庭で育ったような人間は、最初は頭がパーでしたから、どんないいアイデアでも人に上手く伝えられないのです。相手に上手く伝えられないことには、理解もされません。

それでは、どんな優れた感性があったとしても、成功はおぼつかないでしょう。だから、表現するための手段を磨かないといけないのです。

自分の得意分野が、ダンスや音楽、絵画といったものであれば、まだ誰にでも伝わりやすいと思います。自分の得意分野が、それ以外の分野であるなら、表現するためには言葉の力を借りる必要があります。

私が本ブログで、「とにかく最初は本を読みましょう」と繰り返し言っているのはそのためです。もし、これを読んでいるあなたに、基本的な言語能力や文章能力があるなら、あとは行動するだけです。

実のところ、今の日本人は、この ”自分で行動する” ということができない人が少なくありません。そこは最終的に、度胸がものをいいます。

どん底を経験した人は、自分が傷つくことに普通の人より慣れているはずなので、行動しやすくなっているはずです。思い切ってやってみましょう。

どん底の経験を活かすには、表現力行動力の2つが必要なのです。この2つさえあれば、あなたはきっと自分の苦労を活かすことができるようになるでしょう。

 

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