高卒と大卒の生涯年収が5千万違うという前時代的洗脳

高卒と大卒では生涯年収に約5000万円の差がでるといわれています。(男女含む)

しかし、これは本当に正しいのでしょうか? そもそも、生涯年収というのは人が一生涯に受け取る給与額をいいます。

生涯年収の計算は、ほとんどの場合、一つの会社に正社員で定年まで勤めあげた人たちの給与で算出されています。つまり、こうした論理は、正社員で一つの会社に定年まで勤め続けることが前提” となっているのです。

近年、日本の30代までのサラリーマンでさえ、平均して2~3回の転職をするといわれています。その中には、正社員だけでなく契約社員や派遣社員などの雇用形態も含まれているでしょう。

20年前と比べ、起業のハードルも相当に下がっています。働き方が多様化した現代、過去の常識で計算された生涯年収に一体どれほどの意味があるのでしょうか?

生涯年収などのデータを鵜呑みにしない

日本は他の先進国と比べて、圧倒的にネガティブ思考の人が多いといわれています。これは私自身も実感していることで、日本人は良くも悪くも他人の言うことに対して素直すぎるのです。

これはいうまでもなく、悪しき学校教育の成果といえるでしょう。私たちは、権威やデータといったものを鵜呑みにするよう教育されてきたのですから。

とくにここ最近は、権威ある人の言葉、調査機関から出てくるデータがネガティブなものばかりです。そのため、大多数の日本人がそれを見てネガティブな気分になっているのです。

しかし、権威があるからといって、必ずしも信用できるとは限りません。データも所詮は過去の出来事を収集したものにすぎないのです。

今の時代、かなりの割合の人たちが利益優先になってしまっています。

そんな時代ですから、相手が提示した情報が自分にとって本当に正しいかどうか、判断する必要があります。「その情報が誰かの利益になっているのではないか?」と疑わないといけないのです。

データは前提条件が変わればいくらでも結果が変わる

先に述べたように、生涯年収のデータというのは正社員で一つの会社に定年まで勤め続けた結果を計算したものです。

たとえば、私と同年代なら、大卒で非正規雇用の仕事しか経験がない人もいます。

そういう人と、地元の工業高校を出て大企業の正社員となった人を比較しても、工業高校卒の人の方が生涯年収は高くなります。高学歴で一流の企業に入社した人でも、高卒で起業して成功した人と比べれば、生涯年収は高卒の人の方が高くなるでしょう。

このように、データというのは、前提条件を変えるといくらでも結果が変わってくるのです。

多くの日本人は、権威ある機関が出したデータをそのまま信じて「やっぱり俺は高卒だから・・・」などと悲観的になっています。もし、あなたがそのような思考の持ち主であれば、かなり洗脳されていると考えたほうがいいでしょう。

高卒だろうがFラン大卒だろうが、高収入な人は世の中にいくらでもいます。

学歴だけで人生が決まるというのは、前時代的洗脳にすぎません。そろそろ、日本人も親世代の洗脳から解き放たれる時期に来ているのです。

本物の実力とは”実行力”のこと

では、高卒や専門卒、Fラン大卒など、一般的には低学歴といわれている人たちで、高収入になった人たちに共通していることは何でしょうか?

それは、一言でいえば、本物の実力があるかどうかです。
そして、本物の実力とは「実行力」のことをいいます。

今の日本人は、ここを知らない人があまりにも多いと思います。いくら高学歴で知識があっても、その知識を実行に移せないと意味がないのです。

私はこれまで、高学歴なのに仕事で結果を出せない人を何人も見てきました。

彼らに共通することは、結局のところ口だけで実行力がないのです。仕事というのは、最終的に実行しなければ結果は出ません。いくら高尚な理論を語ろうと、それを実行できなければ結果はついてこないのです。

高学歴でMBA持ちなのに結果が出せない人

私が以前勤めていた会社で、高学歴でMBAを取得し、日本でも名門といわれるP社元社員の人がいました。彼は、知識量はあるけれども、仕事でまったく結果を出せていませんでした。

それもそのはず、彼は失敗を恐れて、実行部分を全て他人にやらせていたからです。そして、成果がでれば、その成果を全て自分のもののように上に報告していたのです。

そのとき私も、彼の下で働いていました。彼は人のやることに文句ばかりつけるので、いいかげん私も頭にきて「そんなに文句ばかり言うんなら自分で全部やれよ」と、その会社を辞めてしまいました。

当時、私と彼がやっていたプロジェクトは、社内でもかなり重要なプロジェクトでした。ですが、私が辞めた後、そのプロジェクトにまったく進展が見られないため、彼は担当から外されてしまったということでした。

結局、彼はそのプロジェクトをどのように進めればいいのかわからなかったのです。後から他の人に聞いた話では、彼が私に文句ばかりつけていたのも、自分が進められなかったプロジェクトを進める私に嫉妬してのことだったようです。

知識は必要なときに必要なだけあればいい

私もエンジニアの端くれですから、たしかに知識は必要だと思っています。ただ、実際に仕事を進めるにあたって、そこまでたくさんの知識は必要ないのです。

それより大事なことは、自分の持っている知識をどう応用できるか、どんな知識が不足しているかを知ることです。どの知識が不足しているかを知ることができれば、自分で調べることができます。ようは、必要なときに必要なだけの知識があればそれでいいのです。

あとは、自分の考えを実行に移せるかどうか。どんなに知識があったとしても、実行できなければ宝の持ち腐れになってしまいます。

生涯年収に差がつく原因は何も行動しないこと

結論としては、生涯年収に差がつく最大の原因は学歴ではなく「何も行動しないこと」です。

かりに私が、地元で最初に勤めた金型工場でずっと働いていたとすると、いまだに年収300万円前半のままだったでしょう。そうした状況に嫌気が差し、転職をするもまた似たような状況になり、それでも諦めず努力をし続けたから今があるのです。

手前味噌で恐縮ですが、私の2020年度の年収は源泉徴収の額面で983万円でした。このほか、源泉徴収に含まれていない海外出張費13万円、交通費14万円を含めると1010万円。さらに、今住んでいる賃貸の家賃93000円のうち、7万円が会社補助なので、それを含めると年間84万円となり、実質年収は1094万円となります。

学歴のないサラリーマンとしては、ひとまず成功した部類に入るのではないでしょうか?

私が現在、このような高収入になれたのも、諦めず行動し続けた結果なのです。とはいえ、ただ何も考えず行動するだけではいけません。自分の人生に「自分はこうなりたい」「自分はこういう生き方がしたい」という目的を持っていないといけないのです。

なぜなら、人は目的を持つことで「今の自分に足りないものは何か?」と考えるようになるからです。

自分の能力を高める努力をせず、ただ闇雲に行動してもいい結果には繋がりません。若いうちは考えも浅く、何かと失敗しがちですが、失敗の経験も自分が成長するに従って必ず役に立つようになります。

たとえ失敗しても、行動すれば注意すべき点が次第に明確になっていき、状況判断ができるようになってきます。いづれ、それはあなたに本物の実力をもたらすでしょう。だから目先の評価を気にして失敗を恐れてはいけないのです。

あなたの人生は会社が決めるわけではありません。生涯年収などというデータに惑わされてはいけないのです。自分の人生を決めるのは、後にも先にも自分次第ということを忘れないようにしましょう。