私は新卒のころから、ずっと日本企業のやり方が好きになれませんでした。
40歳を過ぎてから外資系企業に入り、整った職場環境を経験し、さらに日本企業のおかしさがわかるようになりました。
本ブログでは、しばしば日本企業、とりわけ大企業の批判をしていますが、それは日本企業の組織運営があまりにも酷く、多くの日本人を不幸にしていると感じるからです。
私は日本という国が大好きです、日本企業を応援したいという気持ちも強くあります。だからこそ、今の日本企業の体たらくには我慢がならないのです。
今回は、その中でも「これは本当に終わっている」というものを3つピックアップしました。
もし、あなたがここに書かれている内容に加担しているなら、今すぐ止めて下さい。一度、悪い慣習に染まってしまうと、今後は転落の道しか残されていないからです。
同僚や上司が平気で仕事の邪魔をする
いまだ多くの日本企業では、出世競争が盛んなためか、同僚や上司が人の足を引っ張る場面が見受けられます。これは本当に最悪です。
私はこれまで勤めてきた日本企業の9割で、仕事の邪魔をされることを経験しました。
こちらはただ一生懸命仕事をしているだけなのに、必要な情報を隠されたり、必要な承認がされず長期間放置されたり。酷い上司になると、わざと見当違いな指示を出して失敗させたりといったこともありました。
それが顧客にとって迷惑になるとしてもです。
彼らは顧客に迷惑がかかったとしても、私が悪いと言い張ります。いや、むしろ意図的に顧客に迷惑をかけることで、私の評価を下げたかったのでしょう。そう考えているとしか思えない場面が幾度もあったのです。
私はそういう場面に遭遇するたび、日本の職場環境が日に日に嫌になっていきました。
そして、「自分は出世や評価などどうでもいいんだよ。とにかく、まともに仕事をさせてくれ」と強く願っていたのです。
もしかすると、これを読んでいるあなたも、私と同じ経験をしたことがあるかもしれません。それほどまでに、今でも多くの日本企業では、こうした子供じみた真似がまかり通っているのです。
私たちは労働の対価として給料をもらっています。私は芯の部分では生真面目なところがありますから、「お金をもらう以上は良い仕事をしよう」という気持ちがあります。それを周囲から邪推され、邪魔されるのですからたまったものではありません。
外資系企業では仕事の邪魔をすると低評価をつけられる
ほとほと日本の職場環境に嫌気が差していた私は、41歳のとき外資系企業への転職に成功しました。
外資系企業といえば、日本企業以上に出世競争が熾烈で、足の引っ張り合いが盛んだと思っている人もいるでしょう。たしかに、一部の外資系企業では、そうした企業も存在するかもしれません。ですが、そこそこの規模がある外資系企業では、そのようなことはないと思います。
とくに米国では、世界に名だたる有名大学が、何十年にも渡って日本企業の研究をしているのです。もちろん、出世競争の弊害や足の引っ張り合いが、どれだけ会社に損失を与えるか知り尽くしているといっても過言ではありません。そうした有名大学の最新理論を、積極的に導入しているのが米国企業です。
たとえば、私の会社では、上司が部下の足を引っ張れば、一気に評価を下げられます。マネージャーとしての能力がないとみなされるのです。
同僚の足を引っ張っても同様です。足の引っ張り合いが原因で、業務が遂行できなかったとなれば、否応なしに低評価をつけられる仕組みになっているのです。それで顧客に迷惑をかけるなど論外なのです。
それ以前に、仕事量が多いので、他人の足を引っ張っている暇などないという理由もあるでしょう。いづれにせよ、社員同士の低レベルな争いなど、会社の利益にならないことを未然に防止する仕組みが作られているのです。
そのためか、私は今の会社で仕事の邪魔をする同僚や上司を見たことがありません。
同僚の陰口を叩く人でも、仕事ではちゃんと協力しているのです。それが本来、仕事をする人間として当然の姿であり、大人というものなのです。
無能な上司
これは改めて説明する必要もないでしょう。
恐らく、ほとんどのサラリーマンは、一度は無能な上司を経験しているはずです。
自分の責任から逃げたり、部下に責任を押しつけたりといった無責任上司。困りごとを相談しても、事なかれ主義でまったく解決できない上司。
そんな人間でも、日本企業では上にあがれるのですから、まったくもって不思議という他ありません。
そもそも、責任を取れない上司に組織を統率することはできません。
日本人は、個人レベルの業務能力が卓越しているから、これまでやってこれただけの話です。上司が適当な指示をだしても、現場が上手くやってくれるところがあるのです。しかし、そんなやり方にもそろそろ限界が来ています。
無責任な人、事なかれ主義な人というのは、自分の意思がしっかりとしていません。意思の弱い人間が上層部にいる組織が、強くなれるわけがないのです。これまでの時代は、たんにいい加減な指示でも、時代の流れが良かったからやってこれたというだけの話なのです。
外資系企業の管理職は責任から逃げられない
私がいる会社では、マネージャーが責任から逃げられないような仕組みになっています。
どんなに責任から逃れようとしても、責任を部下に押しつけようとも、そんな言い訳は一切通用しないのです。監督不行き届きとして、半ば強制的に責任を取らされます。
それ以前に、責任を取れないならマネージャーになる資格はないと指導されるのです。責任から逃げる人間は、問答無用でマネージャーから降ろされるのです。普通に考えて、こんなことは当たり前のことなのですが、今でも多くの日本企業では、この当たり前のことができていません。
とにかく給料が安い
日本企業から外資系企業に移る人の理由の9割はコレです。
これからは、今まで以上に技術力がモノを言う時代です。にもかかわらず、日本の企業はエンジニアの給料が安すぎるのです。
給料の安い仕事に有能な人材は集まりません。有能な人材がいなければ、高度な技術を維持することはできないのです。それなのに、いまだに基本給を低くして残業代で稼がせるといった古い体質の企業もあります。
私は以前、若者の給料が安い国に未来はないという記事を書きました。
この中で、お金を使うことは情報を買うことと述べています。人は情報がなければ発想することができません。
これまで以上に熾烈な技術競争を勝ち抜くには、発想力が必要です。そのためには、発想を豊かにするための情報を仕入れなければなりません。当然、それにはお金が必要になります。
高度な技術であればあるほど、多くの情報が必要になります。米国シリコンバレーのエンジニアの給料が突出しているのも、それをわかっているからでしょう。
お金に余裕があれば、気持ちに余裕も生まれます。余計な不安がない状態だからこそ、人は豊かな発想ができるようになるのです。多くの日本企業は、このことがまったくわかっていません。
自分がエンジニアなので、エンジニア中心に話をしていますが、これは何もエンジニアだけに限った話ではないのです。
営業や企画といった職種でも同じことです。これまでにない、商品や営業手法を編み出すためには豊かな発想力がモノをいいます。
単純作業といわれるような仕事でも、発想力は活かされます。建設や土木の業界でも、日本では現場作業員が数々の工夫をして現場を切り盛りしているのです。
そうした創意工夫を促すためには、社員が不安なく生活できるだけのお金が必要になるのです。
従業員の生活に不安がある状態では、日本のあらゆる分野の技術力は、今後も低下の一途をたどることになるでしょう。いづれは途上国にも追いつかれるはずです。そのときになって気づいても、時すでに遅しなのです。
社員の生活を考えない企業は衰退するしかない
ここまで、日本企業のとくにダメな点を3つほど挙げてみましたが、私はなにも手放しで外資系企業を賞賛するわけではありません。外資系企業にも悪いところはありますし、日本企業にもまだまだ良いところはあるからです。
そうはいっても、ここに挙げた3つの傾向は、組織運営上、かなり深刻な内容です。この3つが改善されない限り、日本企業が真の意味で良くなることはないでしょう。
私が多くの日本企業に怒りを感じる最大の理由は、会社の上層部が社員をまったく大事にしていないということです。
彼らの大半は、自分の利得ばかり考え、下で働く社員の生活など気にもしていません。挙げ句の果てには、「企業の目的は利潤の追求」などと、教科書通りのことを恥ずかしげもなく言う始末です。
こういう経営者を見ると、「教科書に書かれていることがお前の意思なのか!」と、私は言いたくなります。彼らには、自分の意思があるようでないのです。そんな経営者に、社員を幸せにすることはできません。
外資系企業でも、上層部に同じ傾向はありますが、会社の仕組みとして社員の給与水準が高くなっているだけまだマシです。少なくとも、日本企業のように金銭的な不安を持たなくて済むからです。
日本企業は今一度、社員の生活を考えるという基本に立ち返る時期が来ているのです。
それを考えてないから、賃金の安い外国人労働者に頼ろうという考えになるのです。社員を大事に扱い、会社の技術やサービスの水準を高めれば、過度に外国人労働者に頼る必要はないのです。
それができないなら、日本企業は衰退してくしかありません。もし、あなたが今勤めている会社にそのような傾向があるのなら、どんな状況でも働けるように、今から準備しておいたほうがいいでしょう。
経営者がそんなこともわからないのなら、その会社の未来は暗いとしか思えないからです。