頭のいい人が馬鹿に負けるのはなぜか?

社会人になると、世間一般では頭がいいと思われている人が、なぜか馬鹿に負ける場面に出会うことがあります。

勝負事があったとき、基本的には頭がいい方が勝つというのは至極当然のことでしょう。しかし、現実にはそうならないケースが多々あるのです。

今回はその原因について、解説してみます。

考えることが常に最良とは限らない

今の世の中、なんでも考えることが大事なんだと思われています。たしかに、考えることは大事なことなのですが、現実にはさほど考えなくてもいいケースも存在します。

頭のいい人が馬鹿に負けるとき、考えなくてもいい場面で考えてしまい、行動が遅れてしまうことが少なくありません。

もう随分前になりますが、某人気受験漫画で次のようなセリフがありました。

「たとえば川の真ん中に小島があって、そこに100万円が落ちていたとする」
「頭の悪い奴はそこで川に入って100万円を取ることを考えるが、頭のいい奴は濡れずに100万円を取ることを考える」

細かい部分は違うかもしれませんが、おおよその内容はこんな感だったと思います。あなたはこの内容についてどう感じるでしょうか?

私はこれを読んだとき、「本当に頭のいい奴はそんなこと考えないだろう」と思いました。

こうしたケースでは、そのまま川に入って100万円を取りにいった方が早いからです。川の流れが泳げないほど速かったり、川に水ではなく溶岩が流れているなら話はわかります。

ですが、川の流れがそれほどでもない、普通に歩いたり泳いだりして小島まで行けるのなら、濡れてでも行動した方が早いのです。頭のいい人が考えている間に、頭の悪い人はさっさと100万円を手に入れてしまうでしょう。

こうしたことは、現実世界ではよくあることです。

思考と行動はケースバイケースで使い分ける

私が何をいいたいのかというと、”考えるべきときと考えなくてもいいときを使い分ける” ことが重要だということです。これは状況判断ができるということです。

世間一般で頭が良いとされる人のほとんどは、なんでもかんでも考えることで解決しようとします。しかし、その考えるという行為が、状況によっては事態を悪化させることもあると知らなければなりません。

たとえば、あなたが一人で山道を歩いていたとき、突然イノシシに襲われたとしましょう。そういった場合、考えるよりまずその場から逃げることが先決です。

ところが、あまりに考えることが習慣化してしまっている人は、そんな場面でも一瞬考えてしまうのです。そして、行動が遅れて被害を被ってしまうのです。

実は、考えるというのは、思いのほか時間を使う行為なのです。

考えている間にも、刻一刻と状況は変化します。考える時間が長ければ長いほど、状況が不利になるケースが現実社会にはいくらでもあります。

身近な例でいえば転職などもそうでしょう。企業では、取引先との関係で急遽新しい人材が必要になる場面があります。そんなとき、募集する企業は「募集条件に合致する人材がいれば、今なら無条件で年収900万出す」という好条件で人材を募集することがあります。

ここで、Fラン大卒だけど募集条件に合致する人、高学歴で募集条件に合致する人がいたとしましょう。Fラン大卒の人は「マジか!なら早速応募しよう」となりますが、高学歴な人は「もう少し考えてからにしよう」と行動するタイミングに差が出ることがあるのです。

その結果、Fラン大卒の人は好待遇をゲットすることができました。高学歴な人は熟考した結果、その1年後にその企業に転職しましたが、すでに好条件の枠は埋まっていたため、前の会社と待遇はあまり変わりませんでした。これは実際、私の身近であったことです。

このように、考えるときと、すぐさま行動するときを使い分けられないと、頭のいい人でも馬鹿に負けることがあるのです。

度胸は頭脳を凌駕する

あと、頭のいい人が馬鹿に負けるケースとしてよくあるのが、度胸があるかないかです。ヤクザが医者や弁護士を手玉に取る、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

こういう話は、なにも珍しいことではなく、昔からよくあったことなのです。漫画ミナミの帝王などでもよくありますね。

度胸のある馬鹿と度胸のない秀才が正面から真剣勝負をした場合、まず度胸のある馬鹿が勝つとみて間違いありません。

なぜなら、どんなに優れた頭脳があろうとも、恐怖を感じて動揺すれば、その頭脳を十分に発揮できないからです。度胸のない人というのは、度胸のある人と比べ、恐怖を感じる要因が多いのです。

また、度胸のある人は、自分が恐怖を感じてもそれをコントロールすることができます。しかし、度胸のない人は恐怖をコントロールすることができません。その差が勝負の分かれ目となるのです。

ですから、自分より頭のいい人と勝負をしなければならないとき、相手に度胸がないのなら、度胸が必要な土俵に持ち込むことで勝負事を有利に進めることができます。

最初にあった某人気受験漫画の話で、「頭のいい奴は濡れない方法を考える」という部分があります。ここでいう ”濡れる” ということを “リスク” と置き換えてみましょう。

私のこれまでの人生でも、たしかに頭が良いとされている人たちは、リスクを避けることばかり考えていました。人間リスクを避けてばかりいると、自分が損失を被ることを必要以上に恐れるようになるものです。

その損失が馬鹿から見れば些細なものであってもです。

馬鹿な人間というのは、馬鹿であるがため、損失を被ることに慣れているところがあります。

頭のいい人より遙かに失敗することになるからです。皮肉にも、その自分の馬鹿さ加減が度胸をつける結果となっているのです。

度胸のある人は、相手にどれだけの度胸があるのかを見抜くことができるようになります。そして、相手に度胸のない部分を突くことで、自分より頭のいい人に勝つことが可能になるのです。

もちろん、頭も良くて度胸があるのが一番ですが、現実にはそういう人は稀です。だからこそ、私は学歴がないと悲観している人には度胸をつけるように勧めるのです。

それは、度胸こそが、自分より頭のいい人に勝利するために最も有効なスキルだからです。