「日本のサラリーマンは不安や恐怖に支配されている」
これが、20年以上サラリーマンをやってきて、私が感じたことです。不安や恐怖を感じることは誰にでもあるのですが、昨今の日本のサラリーマンは、必要以上に不安や恐怖を感じすぎだと思います。
それは日本が平和な国だからでしょう。直接的な身の危険を感じることがありませんから、恐怖に対する感覚が鈍ってしまったのです。これはある意味、仕方のないことではあります。
とはいえ、何事にも恐怖を感じやすいということは、他人にコントロールされやすいということです。それでは、本当に人生を楽しむことはできません。
不安や恐怖を克服するにはどうすればいいのか?
では、恐怖や不安を克服するにはどうすればいいのでしょうか?
一言でいえば、やはり度胸をつけることが最もよい解決策になります。そうはいっても、これだけではあまりにも具体性がありません。度胸をつけるための方法はいくつかありますが、ここではそのうちの一つについて紹介します。
度胸をつけるためには、次の3つのステップが効果的です。
STEP2 なぜ恐怖を感じるのかを考えてみる
STEP3 解決策を考えてみる
ようするに、自分の恐怖を具体化して対策を練るということです。
私は31歳のときに、この方法に気づきました。それから、自分が恐怖や不安を感じたとき、いつもこの3ステップで物事を考えることで、恐怖や不安を克服してきたのです。
かつて、太宰治が「漠然とした不安」という言葉を残して自らの命を断ったのは有名な話です。
しかし、私は上記の方法を実践するようになってから、「本来、漠然とした不安などない」と考えるようになりました。
人が不安や恐怖を感じるとき、そこには必ず原因があります。恐怖を感じやすい人たちは、その原因がわかっていないのです。原因がわからなければ、対策をとることもできません。
その結果、いつまでも同じ不安や恐怖を抱えたまま人生を送ることになってしまうのです。
それでは、上記3ステップを一つ一つ解説していきましょう。
STEP1 自分を客観的に見つめる
自分を客観的に見つめる。これが最初のステップです。まずは、ここができなければ何も始まりません。
自分を客観的に見つめることができなければ、自分が何に不安や恐怖を感じているのか知ることができないのです。
また、自分を客観的に見つめられると、自分に何ができるのかがわかるようになってきます。自分ができることがわかれば、自分のできる範囲で対策を練ることができます。
今の自分に対策できる能力がなければ、足りない能力を補うことを考えるでしょう。自分を知ることができれば、足りない能力を手に入れるための努力のしようもあるというものです。
いつまでも同じ不安を抱えたままの人は、自分を客観的に見つめることをしていません。だから、不安や恐怖の正体がハッキリせず、解決することができなくなっているのです。
STEP2 なぜ恐怖を感じるのかを考えてみる
自分を客観的に見つめられると、自分が何に恐怖を感じているのかがわかるようになります。あなたが今、何らかの不安や恐怖を感じているのなら、次のように自問自答してみて下さい。
「怖がっている根本原因はなんだろう?」
たとえば、あなたが上司を怖がっているとしましょう。そんなとき、上記のように自問自答してみるのです。
「私は上司の何に恐怖を感じているのだろう? その根本原因はなんだろう」と。
そうすると、 上司に嫌われると給料が上がらなくなる、出世や昇進にひびく、嫌がらせをされて職場に居づらくなるかもしれない、住宅ローンが払えなくなる、などの要因が浮かび上がってくるはずです。
STEP3 解決策を考えてみる
恐怖の要因が明確になれば、次にするのは解決策を考えてみることです。先に挙げたような内容であれば、次のような解決策が思いつくかもしれません。
⇒ 能力を高めて転職で給料を上げる、副業をする
「出世や昇進にひびく」
⇒ 転職してべつの環境で再トライする
「嫌がらせをされて職場に居づらくなるかもしれない」
⇒ 他にもっといい職場があると考える、反撃する
「住宅ローンが払えなくなる」
⇒ 最悪、家を売り払うことも考える、自分で収入を上げることを考える
このようなことをいうと、一部の人からは「そんなこと誰にでもできるもんじゃない」と言われることがあります。
もちろん、上記の内容は私個人の考えなので、誰にでも当てはまるとは限りません。ここに挙げたのは、あくまで一例です。普通の人なら、上司に嫌われないことを第一に考えるでしょう。
ようは問題を明確にして、「自分が恐怖や不安を感じないようにするためにはどうすればいいのか?」と、自分なりの答えを導き出すのが大切だと言いたいのです。
そうした経験を何度も繰り返していると、恐怖や不安への解決策が自分の中に蓄積されていくのです。そうすれば、いづれ大抵のことは自分で解決できるようになっていきます。
自分で解決できることに、恐怖を感じる人はいないでしょう。そうした手段を持つということも、また度胸を構成する一つの要素なのです。
今の世の中は、むやみやたらと恐怖を感じる人が増えています。その恐怖が自分で具体的にわかっていればいいのですが、わかっていない人の方が圧倒的に多いのが現状です。
繰り返しますが、人が恐怖を感じるとき、そこには必ず原因があります。
その原因を明確にして、漠然とした不安を具体的な不安にすることで、対策を打つことができるようになるのです。そして、それが恐怖に打ち勝つための有効な手段になるのです。