近年、人間関係に疲れている若者の話よく聞きます。
実のところ、人間関係に疲れたという話は、私が社会に出た25年前からありました。とくに、会社の人間関係などは、今よりも厳格な上下関係が敷かれていました。当時を思い返せば、本当に面倒くさい時代だったと思います。
ただ、25年前と今では、人間関係の疲れ方に違いが見られるように思います。
他人に完璧を求めると人間関係が嫌になる
最近の人間疲れの傾向としては、相手に完璧を求めすぎていることがあげられます。
自分の理想を相手に押しつけているのです。たしかに、若い頃は経験不足から、誰しも潔癖なところがあるものです。もちろん、私が若いときも同じ傾向がありました。
友だちとはこうあるべきだ、恋人とはこうあるべきだ、家族とはこうあるべきだ etc…
ですが、そんな理想を他人に押しつけたところで、他人が自分の思った通りにしてくれるわけがないのです。
そこで、現実と理想のギャップに苦しむことになります。しかし、いくら他人を変えようと努力したところで、他人が自分の思い通りになることはないでしょう。
ここで、「他人が自分の思い通りになることはない」と気づいた人は、その後の人間関係がうまくいくようになります。逆に、気づけない人は、それ以降もずっと人間関係に悩むようになるのです。
私はあるとき考えました。「他人に求めていることが自分にはできているのか?」と。
そう考え、自分の過去の行動を振り返ったとき、私自身も他人に求めていることができてないことに気づいたのです。
「自分にできないことを他人に求めても仕方がない」私はそう考えるようになりました。
それからは、人間関係で悩むことがほとんどなくなったのです。
結局のところ、自分も含め、完璧な人間など存在しないのです。それなら、相手に多少は気に入らない部分があっても、許容したほうがうまくいきます。他人からすれば、自分にも同じように気に入らない部分はあるのですから。
他人に対しては大雑把でいい
基本的に、自分に対してストイックな人は、他人に対しても同じようにストイックさを求める傾向があります。しかし、世の中の人が全員、ストイックな人間だということはありえません。
まったく向上心がない人、とにかく楽をしたい人など、色々なタイプが存在するのです。
学生時代ならまだしも、会社などの組織に入れば、自分と合わない人とも関係しないといけません。自分が会社を作るにしても、自分の気に入る部下ばかり集まるとは限らないのです。
ストイックな人たちは、自分のことを細かく管理しています。ところが、自分のことをそこまで細かく管理できる人はそうそういるものではないのです。
それなら、細かく管理するのは自分だけ、他人に対しては大雑把に考えたほうがストレスは少なくてすみます。
それができない人は、他人に対していつもイライラするようになります。そして、そのイライラは、自分の考え方を変えない限りずっと消えることはないのです。
色んなタイプの人とつき合えば人は寛容になっていく
人間関係で悩む人の多くは、狭い人間関係しか知らない人ばかりです。狭い人間関係しか知らないから、自分の思い込みから抜け出せなくなっているのです。
転職を何度か経験した人ならわかると思いますが、何度も職場を変わっていると、色々なタイプの人と嫌でも接することになります。
新しくその会社に入った場合、周囲の人間とどんなに合わなくても、最初の1~2年は周囲に合わせなければならないのです。そうなると、自分に合おうが合わまいが、相手の価値観をある程度は受け入れざるをえません。
これは、どんな職場に入っても経験することです。とくに、地域や業界を越えた転職をすれば、企業文化や社員の考え方も大きく違ってくるでしょう。
ほとんどの人は、一度転職をすれば、気に入らないからといって即転職ということにはならないはずです。よほどのブラック企業でない限り、短くても半年~1年くらいは在籍することになるでしょう。
その間、嫌でも周囲に合わせなければなりません。それを何度か経験すると、次第に他人のことを許容できる範囲が広がっていくのです。だから、私は若いうちに何度か転職を経験することは良いことだと思っています。
たまに、有名企業に10年以上も勤めた人が転職して、次の会社で揉めている場面を目にします。
前の会社のやり方に固執して、次の会社のやり方に馴染もうとしない、納得がいかないと言ってきかないのです。こういう人は、長年狭い人間関係の中で生活してきたため、他の価値観を許容する習慣がありません。
当然、周囲からは煙たがられますし、自分自身も人間関係に悩むことになるでしょう。
他人に対して寛容になるというのは、細かい部分には目をつむって大雑把に相手を見るということです。
細かい部分を気にすればするほど、どんな人間でも悪い部分ばかりが目についてくるようになってきます。そうなると、相手のことが許容できなくなり、お互いの関係も次第に破綻していきます。
人間関係で悩まないようにするためには、大雑把な感覚もときには必要なのです。
完璧な人間などいないのですから、あまり厳格に他人を見ないようにしましょう。人間関係はもっと大雑把、言い方を変えるなら、多少はいい加減なくらいの方がうまくいくのです。