速読なんて必要ない

速読をすれば人生が変わる!

私が若い頃、こんな触れ込みで速読が流行ったことがありました。当時の私も「速読はそんなに効果があるのか?」と興味を持ったことを覚えています。

その後、自分で試したり、速読をしている人と知り合ったりして、速読の現実というものがわかってきました。

実際、「速読は人生を変えるほどの効果があるのか?」 今回はここについて考えてみます。

高額な速読教材

私も若い頃、速読について非常に興味を持った時期がありました。ちょうど読書の楽しさと効果を実感していた時期だったので、余計に興味が湧いたのです。

当時、速読で有名な教材が何種類かありましたが、どれも高額で私には手が届きません。高いものだと、250万円といったものまでありました。

私自身、試してみたいとは思いつつも、収入が追いつかないため、実際にそれらの教材を試すには至りませんでした。

その後、私は速読にまつわる様々な噂、現実を目にすることになります。

実のところ、ああいった高額教材は、そのほとんどがマージンで中身は大したものがないことも知りました。

今になって考えてみれば、借金してまで試さなくて本当に良かったと思っています。そして、その効果のほども、34歳のときに入学した社会人大学院で、改めて知ることになります。

高学歴でも一般人と大した差はない

私が34歳のとき、半年だけ入学した社会人大学院では、スキルマニアとでも呼べる人がいました。彼らは速読を習得し、毎月100冊以上の本を読むと豪語していました。

彼らは高学歴であり、文章の処理能力がズバ抜けていました。とにかく、文章を読んでレポートにするという作業が私などより数倍も速いのです。

たくさん本を読んでいるだけあって、一般人の私からすれば知識量も相当なもの。

それ自体は素直に凄いと思ったのですが、ここで私はあることに気づきます。それは彼らの理解が表面的であるということでした。

彼らのレポートの内容も見ることができました。なんといえばいいのか、ただ決まりきった型にはめている、テンプレートのような印象を受けたのです。

速く読むほど細部までは理解できなくなる

そんな彼らとは、2、3回会って飲み会をしたことがあります。そのとき、ある人がこんなことを言っていました。「速読なんて意味ないよ。そんなことしてたら細かい部分までは絶対に理解できない」

ちなみに彼は医者です。課題に対してレポートの提出も速く、その情報処理能力の高さは誰の目にも明らかでした。そんな彼が速読を否定したのです。

やはり私が感じたことは間違っていなかったのです。たしかに、理解力できる速さには個人差があります。彼らのような人たちは、私たち一般人よりは速く物事が理解できるでしょう。

ただし、それも程度の問題です。

一般的な速読の触れ込みにあるように、「毎日10冊以上本が読める」といった速さでは、どんなに頭のいい人でも、本の細部まで理解が追いつかないというのが現実なのです。

自動車でもスピードを出せば出すほど視野は狭くなり、細部がわからなくなるのと同じことです。スピードとは、本来そういう性質があるのです。

その本の内容を本当にモノにしたかったら、読む速度を落として熟読するしかありません。頭の良い人でも、本当にその内容を理解するとなれば、1日に2~3冊が関の山でしょう。

1日2~3冊の速度なら、毎日読書を習慣にすれば1~2年で到達できます。だから高額な教材を買ってまで、速読を学ぶ必要はないというのが私の結論です。

速読で人生を変えた人はいない

なにより決定的なことは、速読をして人生が劇的に変わった人を私は見たことがないのです。

知識をたくさん取り入れるのは、理解力を得る最初の段階では効果があります。しかし、物事を自分で考えられるようになると、不必要な知識を大量に取り入れることが、かえって害になることがあるのです。

とくに、記憶力のいい人ほど、読んだ本の内容ばかりが脳裏をよぎってしまい、自分自身の考えを差し挟む余地がなくなっていくのです。

そうなると、次から次へと本を読んで新しい情報を取り入れることでしか、発想することができなくなってしまいます。それはもはや、自分で物事を考えている状態とはいえないのです。

「本ばかり読んでいる人は、受験勉強の感覚で答え探しをしているのではないか?」 私の目にはそのように映りました。

自分なりの答えを導きだせるようになろう

今の世の中には、とてつもない量の情報が溢れています。そんな時代ですから、自分で考えなくても何らかの答えは見つかることが多いです。

ここで注意しなければならないのは、その情報は誰でもアクセスできるという点です。

とくにネットの情報はそうでしょう。本でもベストセラーになれば、同じ本を読む人は必然的に増えます。みんながみんな同じ情報にアクセスできるということは、みんな似たような考え方になってしまうリスクを孕んでいます。

みんなと同じになれば、相対的にその人の価値は低下してしまいます。いわゆるコモディティ化です。そんな時代には、自分なりの答えをだせる人材になる必要があります。

「答えのない時代」などと言われて久しいですが、実際は答えはいくらでもあるのです。そして、その答えは自分の中にあります。

本をたくさん読んで、答えを見つけることに慣れてしまった人は、他人と同じ行動をするようになります。これからの時代、それでは本当に価値のある人材にはなれないのです。

速読で人生が変わると思っている人は、今一度ここについて考える必要があるでしょう。

速読でたくさんの本を読むより、良書を熟読して自分なりに考え、自分で試してみましょう。そういう体験を積み重ねると、いづれどんなことでも自分なりの答えを導きだせるようになります。

どんな状況でも答えを出せる人は、人が出せない結果を出せるようになります。情報がないことへの不安もなくなっていくでしょう。

そういう人材になるためには、速読はむしろ害になることの方が多いと感じます。

知識もたしかに必要ではありますが、速読でやたらと知識を詰め込むより、良書を熟読して実践し、自分の血肉とした方がよいと私は思います。

本を読むことだけに時間をかけるより、本を読んだ後、自分なりに考え、体験することに時間を使うのです。そうすることで、知識がなくても自分で答えを出せる人材になるはずです。

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