もうかれこれ10年以上前になるでしょうか?
自分探しをする若者たちが、テレビでも話題になったことがありました。
当時の中高年たちの多くは、そんな自分探しをする若者をたちを嗤い、馬鹿にしていました。私はそんな中高年たちをみては、「自分探しをしてなにが悪い?」と思っていました。
私は人生において、自分探しをすることは必要だと思っていたからです。とはいえ、大多数の若者は自分探しに失敗し、諦めてサラリーマンに収まっていきました。
自分探しに成功する若者はほんの一握りだったのです。自分探しに成功した人、失敗した人、両者の違いは何なのでしょうか?
自分探しに成功する人、失敗する人の特徴
自分探しをして成功した人、失敗した人の特徴を簡単にいえば、以下のようになります。
失敗する人:自分の理想を会社などの組織に求める=自分の外にあるものから探す
自分探しというのは、つまるところ「自分を知る」ということです。
まず自分のことを知らないと、自分の能力や適性、自分が何を望んでいるのかがわかりません。自分の望みや適正がわからなければ、自分らしい生き方もわからないのです。
だからこそ、自分探しに成功する人は、まず自分の能力や適正といった、自分の内にあるものを知ろうとするのです。
自分の能力や適性がわかっていれば、仕事選びに成功しやすくなります。結果として、人生がうまくいくようになるのです。
翻って、自分探しに失敗する人は、自分の適性や性質がわからないまま、自分の理想を会社など自分の外に求めようとします。
自分のことがわからないから、適当に仕事を選んでしまい、「ここも違う」と職場を転々とするばかりになってしまうのです。
会社に自分の理想が合致することはない
これまで、私も自分探しをする後輩たちから、何度も相談を持ちかけられてきました。しかし、自分探しに成功した後輩は、片手で足りるほどしかいませんでした。
ほとんどの後輩たちは、自分の適性がわからず、途中で諦めて無気力なサラリーマンになっていきました。その理由は明白で、彼らはみんな、会社などの組織、自分以外の他人に理想を求めていたのです。
自分の理想は、結局のところ自分にしかわかりません。他人に自分の理想を求めても、答えを出してくれる人などいないのです。
ましてや、会社組織のように、不特定多数の意思が複雑に絡み合っている場所が、自分の理想に合致するなど100%ないといってもいいでしょう。
そこを知らずに、「もっと自分に合った会社があるのではないか?」と考え、転職を繰り返したところで、理想の会社に出会えることはないのです。
組織より業務内容に自分探しのヒントがある
そうはいっても、自分探しをすること、自分をより深く知ろうと努力することは必要です。多くの若者たちは、やり方が間違っているだけなのです。
自分の能力や適性を探すには、組織より業務内容に目を向けてみるといいでしょう。
たとえば、あなたが営業をしているとしましょう。一言で営業といっても、その業務内容は多岐にわたります。
お客さんとの商談はもとより、プレゼン資料作成、人や物の手配、関係部署との調整、情報収集など、細かく分ければかなりの種類があるものです。それらの中で、「自分が最も得意とするのはどの部分なのか?」そこを意識するのです。
もしあなたが、プレゼン資料の作成が得意であれば、そこをさらに細かく分けていきます。
話の展開の仕方が上手いのか、それともパワポなどのアプリケーションソフトの使い方に卓越しているのか、スライドのデザインにセンスがあるのか・・・
そうした細かい部分を意識していくことで、次第に自分の得意とする分野が明確になっていきます。
自分の得意分野が明確になれば、今度はそれを他のことに応用できないか考えてみるのです。
アプリケーションソフトを使うのが得意なら、他の分野のソフトにも素早く適応できる可能性があります。資料のデザインが優れているのであれば、営業だけでなく、デザイン系など他の業種でも応用がきくでしょう。
あとは、個々の業務をしているときの自分の感情にも着目しましょう。
その業務を楽しくやれるのか、それとも嫌々やっているのか。そうした自分の気持ちも、自分の適性を測る物差しになります。
自分の能力や適性を計るためには、そうやって業務内容の細かい部分に目を向けていくことが有効なのです。
違う職種を経験してみてもいい
ただし、同じ仕事ばかりやっていたのでは、経験できる業務の種類が限定されてしまいます。ですので、たまにはパートやアルバイトで違った経験をしてみるのもいいでしょう。
思い切りのいい人なら、1度や2度はべつの職種や業界に転職してみるのもアリだと思います。
かくいう私も、過去に4回ほど業界を変わっています。パートやアルバイトも色々と経験しました。ざっと思い返しても、20職種くらいは経験していると思います。
その経験の中で、自分にどんな能力があって、どんなことに適性があるのか少しずつわかってきたのです。
そうはいっても、日本の雇用環境では、あまり職種や業界をコロコロ変えていると、専門性がないと敬遠されるようになってしまいます。
なので、自分の専門性を高めたい職種や業界は早めに決めておいて、アルバイトやパート、またはプラベートで色々な分野に挑戦してみるのがオススメです。
とにかく、同じことばかりやっていては、いつまでたっても自分のことなどわかるようにはなりません。
自ら色々なことに挑戦していくうち、自分の内にあるものが始めはぼんやりと、そしてだんだんハッキリとわかるようになってくるのです。
自分のことを深く知る努力をする人は、いづれ必ず自分の望む生き方ができるようになるものです。
ですから、私は若いうちに自分探しをすることは大切なことだと考えています。自分探しの方法さえ間違えなければ、いくら自分探しをしてもいいのです。